「山金」

doublet2005-05-13

写真は木浦の山金(やまがね)。
ずしりと重い cassiterite。
Calcite が最末期晶出で、いっぱい cassiterite が刺さっている。
とても細い結晶。
腰を落ち着けて探さないと、高品位鉱はなかなか見つからない。


スズは生産過多で建値ががっくり下がった金属だ。
有機スズの毒性の問題もあり、化学者にまでも敬遠される元素になってしまった。
トリエチルスタニルクロリドとか、まともな神経していたら扱えない。
複酸化物かケイ酸塩なんかで、おもろい物性が出せるといいんだけどね。


有機スズ化学では、塩化物を重要中間化合物として取り扱うことが多い。
Tin の chloride ということで、通称「チンクロ」と言う。
酸素との結合エネルギーは高く、塩化物やアルコキシドが水などで加水分解されると、酸化物として沈殿し、スズを系外に取り出すことができる。
Tin のカスなので、有機スズを使った合成屋には「チンカス」と呼ばれるらしい。


いやマジで。


じゃあ、Mn の場合はどうなのよ、っていう質問が当然のように来るのだが、有機マンガン化合物を使った反応を有機合成に用いることはめったにないし*1、無機マンガンは酸化剤としての利用は多いのだが、溶解性の低い二酸化物(+4価)が系外に出る反応ってのもあまり使えないので、マンガンの場合の略称は無い*2

*1:たまーにカルバニオンとしての利用があるぐらい。

*2:普通は+3価が最終酸化数になることが多い