写真

写真は hematite を置換した chalcopyrite。
Hematite の葉片状集合体の上が黄色く染まっている。
初見では隙間に詰まっているのか、あるいはエピタキシーかと思ったのだが*1、置き換えているようだ。
なんでそんなもんを置換するんだ、と小一時間問いつめたくなるような組み合わせ。
両者の結晶構造も何の類似点もない。
細かい話は反射顕微鏡でチェックしないと何とも言えないが、chalcopyrite は多結晶のようだ。


とっぽいにいちゃんが金髪にしたのはいいけれど、その後、伸ばしていたら毛の根元が黒い毛に戻ってきた、そんなイメージで。


鉱物学で言う「仮晶」ってのは、結晶学の見地から評価すると、大変面白い現象だ。
結晶構造を崩さずに(あるいはめちゃくちゃに)、端からイオンもしくは原子が、もとの結晶外形を置き換えていく。
固体内の拡散、格子内の不純物原子の移動というのが、予想以上にエネルギーが低いということを示すのだが、きちんと詰めると興味深いデータが取れると思う。
結晶っていうイメージは、原子や分子がぎっちりと隙間なくはまり込んでいるととらわれがちだが、実は意外とそうでもなく、他の小分子が出たり入ったり、イオンが隙間から続々入り込んだりする。


こいつにしたって、 chalcopyrite の鉄分は hematite から来ているのか、それとも熱水由来なのかとか、酸素を硫黄で置き換わるのが先なのか、銅原子が入り込むのが先なのか、とか、考えだすときりがない。

*1:enargite の底面の上にエピタキシャル成長する chalcopyrite ってのはある。