人間は、どうやったらその飽くなき欲求にブレーキをかけることができるのだろう。
何センチの紫水晶が採れれば人は満足できるのだろう。
どんな形状の日本式双晶が採れれば、採集者はその産地を「見切る」ことができるのだろう。


無瑕で、巨大で、完全で美しい結晶。
希産で、所有者のほとんどいない鉱物。
詳細は研究されておらず、論文のタネになる鉱物。
モノに限れば、人間の欲は青天井だ。


夢に描いた鉱物を求め、採集者はズリを掘り、露頭を崩し、ガマを抜き、土砂を篩う。


人間の欲望の大きさに比べたら、鉱物産地のいかにちっぽけなことよ。