N氏のBBSに非難が書き込まれているのを読みました。


http://6006.teacup.com/quartz/bbs


正直、私の採集スタイルでは、ほとんどウェブ上の情報は参考にしません。
同好会には一つだけ所属していますが、ほとんど顔を出しませんし、情報を頂くことも多くありません。
むしろ逆利用して、「ここは人が多そうだから、避けよう」という利用が多いです*1
だから、すべてのウェブ上の鉱物産地に関するHPが閉鎖になっても私は困りません。
こう言っては失礼かもしれませんが、ウェブ上の情報は読んでも私にはあまり役に立たないのです。紀行としては面白いですが。
過去の文献もきちんと引用していませんし。
ウェブ上や同好会誌上で、過去にきちんと報告されている産地を「新産地だ」と主張される方もいらっしゃいますが、プライオリティーを主張されるのでしたら、最低限の文献は読んでいただかないと。
逆に、日本中の鉱山や鉱物産地の文献リストを、県や産地ごとにきちんとまとめて頂くと、とても参考になります。


だから私はいい石が採れないのです。
でも、それはそれで納得しています。
何度も書いていますが、仲良く地元の人と談笑したり、酒でも飲みながら鉱山の話を拝聴させて頂くほうが、私にとってははるかに気持ちよい週末が過ごせるのです。
盗人ととられるか、来客ととられるかは、地元や地権者とのやり取り次第なのですから。


この日記にも、産地情報を求めて検索してたどり着いたとお見受けできる方がいらっしゃいますが、ぜひウェブに頼らない鉱物蒐集をお勧めしたいです。
そのヒントは、同好会にあり、図書館にあり、博物館にも大学にもあります。
特に、後ろの3つは公共の機関で、高い税金を払っているのに利用しないのはもったいないです。


私が鉱物産地を探す情報の源は、比率で評価すると、

  1. 論文+報告書+紀要+成書*2     60%
  2. 地元の人の知る情報+言い伝え    30%
  3. 知人の情報(口伝として)         10%

ぐらいです。


書き忘れていました。
私は、HPに産地情報を載せることが問題だとは思えません。
私は、いろいろな産地で地元から締め出しをくらう原因が、ウェブ上の産地情報だけだとは考えていません。
それを言い出したら、学会発表や論文掲載も同じです*3
スケープゴートを作り出そうとしていませんか?


ただ、どんな人がウェブ上の情報や、同人誌や、文献を見ているかどうかわかりませんので、性悪説をもとに対応しなければならないのでしょう。
悲しい話ですが。


乱獲で何も採れなくなったという話は、なにも最近に限った話ではありません。
和田峠を例にとれば、神津先生の論文に「乱獲により数が著しく減った」とあります*4
採った分だけ減ってゆくのは、鉱物の宿命です。
私がガマをひとつさらえば、その分、次の人の分が減ります。
みんなでどういうスタイルがもっとも持続可能 (sustainable) なのか、もう一度考えてみましょう。私も考えます。

*1:しかし、まったく行かないというわけでもありません。この日記を始めてからも数箇所訪ねています。ただし、そういう場合は例外なく、ほかの論文や成書や報告書を参考にしていますが。

*2:もちろん、地質の記載や卒論などもひっくるめて、過去に誰かが近傍を調べた報告ということです。一般には利用しづらいものも多いです

*3:受理されて論文になれば、産地でなにをしてもいい訳ではありません

*4:きっと、1900年代初頭の和田峠の沢には、ゴロゴロ柘榴石が転がっていたんでしょうね。