上の写真は鏡鉄鉱@和賀仙人鉱山。
変哲もない trigonal, R-3c の Fe2O3
微細な結晶はきれいな赤なのに、ちょっと大きくなるとこういう色になる。
こいつも、砕けば赤い粉となる。
ベンガラの赤も粒度や熱処理によってさまざまな色合いがあり、この辺は顔料屋の腕の見せ所となる。
平安神宮を思い浮かべていただきたい。あれがベンガラの赤。
顔料屋は、磁性材料屋へと鞍替えし*1、IT 産業の端を担うようになった。


すべての人間が、多くのシーンで直接的もしくは間接的に恩恵を受けている有用な鉱物。


和賀仙人鉱山は、最後の方は遠平夏畑鉱山と名を変え、鉄の他に銅を出したがやっていけず、赤谷鉱山*2の赤鉄鉱の買鉱と共に顔料用のベンガラを生産したが、現在はすべて撤収した。
スノーシェッドの下の平地がその場所。
成因的にも非常に類似した赤谷鉱山の鉱石が散らばっているので、とてもまぎらわしい。

*1:溶液から沈殿する鉄酸化物の粒度や結晶相、結晶形状をコントロールする技術は、磁性材料の開発にとっては必要不可欠な技。初期の頃はやはり蓚酸鉄を焼いていたらしい。

*2:新潟北部のスカルン−熱水の銅鉄鉱山。「赤谷鉱山」と名の付く鉱山はオレの知る限り日本に6箇所あり、そのうち4箇所ははっきりとした場所が特定できている。新潟、岐阜、福井、山口にある。赤谷なんて地名は、いくらでもあるものだ。