元素と周期表のイメージ

こんなはてなグループを見つけました。
いいですね、こういうの。
http://periodic.g.hatena.ne.jp/


で、セシウムのところの引用(ウィキペディアの日本語版)を見ていたのですが、ポルックス石の次はいきなり「ペッツォッタ石」なんですよね*1
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0
ウィキペディア英語版のほうは、そうではないです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Caesium


「ペッツォッタ石」の話を聞いていると、流行ってのは作られるものなんだなと思いました。


それにしてもこのはてなグループ、(失礼かもしれませんが)書くのに苦戦している感じがしますね。
塩素とセシウムのところを見て、そう思いました。
考えてみたら当たり前の話で、一般の方はセシウムが発火してのけぞったりしませんし*2、つくばで原子時計のメンテナンスするわけでもありませんから。
妙見山ポルックス石を見つけて「わーい」って喜ぶ人は稀にはいるかもしれませんが*3、それもまたマニアな話ですし。
珍しく、身近に存在しない元素ほど、書くのが大変ってことなんでしょうね。
そんな人こそ、「一家に一枚周期表」!
身の回りにほとんどないものは、「使われていないけど、発見には苦労があるんだ」っていうのも、正々堂々としていていいですよ。みんな均一に使われているわけではありませんので。


セシウムの説明では、大阪市立博物館のものがちょっと楽しかったです。
http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~ono/periodic_table/syuki-hyo.htm

水とは爆発的に反応するばかりか、氷とも反応します。


そうでしょうとも。

*1:確かに、セシウムを含む鉱物は、ポルックス石も含め、揃いも揃ってレアミネラルばかりですが、端成分に書けないまでもそれなりの量を含んでいるものはあります。工業的にはこちらのほうがはるかに有用ですが、セシウムの使い道ってそれほど多くないです。

*2:金属セシウムを扱った経験がある人なら、必ず発火の話をするでしょう。イオン化傾向が最も高いというのは、つまりそういうことです。無機塩ですとほとんどカリウム塩と変わりばえしないように感じます。微妙にカリウム塩に比べて融点が低かったりとか、溶けやすかったりとか、反応性がちょっと違うとか、そのぐらいしか違いが感じられません。セシウムの電子遷移が時間の定義に使われているからといって、それがセシウムに特有の性質というわけではありません。目に見えて露骨に違うのは確かに炎色反応の色合いなんですが、セシウムで炎色反応の話を使ってしまうと、ストロンチウムルビジウムで書くネタがなくなってしまうかもしれません。

*3:茨城の北の山中に、リチウムを多く(モル比では多くはないんですが)含んだペグマタイト(花崗岩が固まるときに最後に残った固まりそこね)があり、稀にセシウムとアルミニウムのケイ酸塩であるこの鉱物が見られますが、石英とよく似ているので判別はかなり難しいです。妙見山の記載はやはり堀さんだった記憶があります。この鉱物の記載は、もともとはふたご座のカストルポルックスにちなんで名づけられましたが、castorite は結局 petalite だということが判明し、双子の一人は消えてしまいました。こういう茶目っ気命名は鉱物記載ではいろいろあり、adamite に添わせる eveite なんてのもあります。