東大論文問題:RNA論文、ねつ造可能性認める 辞職は否定−−執筆の教授

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060120ddm012040158000c.html

 東京大大学院工学研究科の多比良和誠(たいらかずなり)教授は19日、毎日新聞の取材に応じ、英科学誌「ネイチャー」などに発表したRNA(リボ核酸)の遺伝子制御に関する論文について「実験データが改ざんやねつ造された可能性は否定できない」と不正疑惑を認めた。しかし、「実験は助手が担当しており、研究室ぐるみのことではない」と辞職する考えのないことを示した。


 多比良教授らは、同研究科から再実験などを求められていた4件の論文のうち、03年2月に専門誌に発表した論文について、当時実験を行った助手と外部の研究機関に再実験を指示。助手の実験は論文通りとなったが、外部の研究機関の結果は異なった。助手に第三者立ち会い実験を求めたが、拒否されたという。


 多比良教授は「指導教官として責任は痛感している。助手は10年来の付き合いで信頼していたが、疑わざるを得ない状況になった」と話している。調査委員会は、来週中に「再現性はなかった」などとする結論を小宮山宏学長に報告する予定。【佐藤岳幸、山本建】


「再現性がない」っていうのは、不正なデータ収集や処理はしていないが、実験を再現する因子が特定できない時に使う言葉。
不正な操作によりデータを作り上げたのなら、「実験結果のねつ造」と言うべき。
さあ、どっちなんだろう?
それにしても、Nature に出るような実験なら他人の追試を受ける可能性が高いってのが、なぜ想像できないんだろうか?不思議。


ねつ造じゃないんだけど、10年ぐらい前にやっていた実験で、甚だしく再現性の低い反応があった。
ゲルマニウム化合物にカルバニオンを加えると起こる電子移動反応だったのだが、収率が高いときで60%、低いときは0%だった。
しかも、その出現比率が1:2ぐらいという、イヤーな反応だった。
実験バッチによって、反応が始まったり始まらなかったりするのだが、半年やってもその原因がつかめなかった。
再現性なしなんだが、うまくいった時の生成物をかき集めて原料にした。


再現性無くても、取れりゃあいいんだよ。嘘ついてるわけじゃない。
反応の on/off を決定する因子が、まだ見つかってないだけだ。
でも、あの反応を第三者の立ち会いのもとで「やれ!」っていわれたら、正直困るかもしれない。