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某大手出版社から連絡が来る。
ずるずるずるずると引き延ばしていた本の原稿の催促だった。
「やってますやってます。すげーいっぱい書いてます」←うそうそ。
いつの間にか3年も放置してしまった。
忘れてくれてるかと思ったのに。世の中はそうは甘くはないらしい。
ついでにもう一冊、本の執筆を打診される。
「そんな暇ないです。そんな器でもないです」と逃げる。
確かに、この分野、日本語の包括的な実用書が無いんだよね。
でも、そんなの書こうとすると、ゆうに2年はかかっちゃうよ。
教科書じゃなくて実験書に逃げるって手もあり。
ギョーカイでは本の執筆は業績にはほとんどカウントされないし、売れても3000部ってところだろうしね*1。
そんな時間があったらフラスコ振ってるほうがいいんじゃないか、と。
プロジェクトのためには書いたほうがいいのかもしれん。
学生の実験を二つ、つきっきりで指導。
ひとつは protodesilylation。もうひとつはラー還元。
後者はえらく大スケールなので、消火器を借りてくる。
うちの消火器は注文中。
反応を丁寧に追いかけるが、やはりラーは3つまでしか水素を与えない。
しかし、反応をさせてから考えたのだが、途中で単離せずにワンポットで次にいっちゃうってのもありなんじゃないか。
反応はめちゃくちゃきれいだし。
ばさばさラーを秤にこぼすのはやめて。火が出るから。
前者は一応毒ガスなので、ボンベを開けるところから完全つきっきり。
が、腐食性ガスなのでバルブがあかないことあかないこと。
ボンベ充填からちょうど一年だが、早すぎる。
そもそも前に使った人が閉めすぎてるんだよな。
こんなに閉めたらニードルの形が変わっちゃうって。
「吹き込みすぎるとメチルが外れるぞ」と脅したら、12時間もかけて吹き込んでくれた。
最初は早く吹き込んでいいんだけどね。
その合間にウェットカラム。
酢エチで展開。頭痛い。
液晶ってのは面白いね。
この組織は結晶とはまた違う楽しさだ。
はっと気が付くと朝の4時。
もうかえる。
*1:だってさ、「取○扱○注意試薬ラ○ガ○ド」だって、一万部ちょっとしか出てないんだよ。あのメジャーな本が。別に印税のためとか業績のために本を書くとか言うんじゃないんだけど、労働の対価に見合ってないので正直やる気が起きない。前の本は「うちの会社(学校)で多用させてもらっています」というメールは大変励みになったけど。