普段使いしていたカールツァイスのルーペ*1にうっかりアセトンをかけたら、プラスチックが溶けちゃったので、岩本鉱産物商会にルーペを注文。
18倍アクロマートを二つ*2
二群四枚、バルサム張り合わせ対称型なんだけど、手放せない。
ルーペが無いと仕事にならない。
が、なかなかオレの満足のいく、最高のルーペにめぐり合えない。
高額ルーペは山に連れて行くのが怖いし、安いのは色収差と球面収差で目が痛くなる。
ある程度視野が広くないとフラスコに沈んだ結晶をサーチすることができない。
10−20倍程度の倍率で無いと 0.1 mm の結晶の質がわからない。
プラスチックマウントは実験台に置いておくと溶媒で溶けるし、ネジ止めは連れ歩いているといつの間にかネジが外れてレンズが落っこちる。
金属カシメはユルユルか、砂を噛んでレンズが繰り出せなることが多い。
マウンティングが悪いと落としたときにレンズの端が欠けちゃうか、バルサム張り合わせがはがれちゃう。
リガクジャーナルか、雑誌「水晶」あたりで、市販ルーペの性能比較の企画をして欲しいな。
ヨロシクオネガイシマス。


昼から実験。
反応の後処理。
学生の実験を指導。
「蒸留でぜんぜんきれいになりません」とのこと。
カラムは何かとたずねたら、クライゼンヘッドだという。
そりゃ分かれないよ。
きれいにしたかったら精留しろと指導。
精留塔をガラス細工で一本作っておこうかなと思ったら、酸素ボンベが空。
誰だー。あけっぱなしで帰ったヤツは。
酸素は明日注文して、ビグリューカラムを二本ばかり作っておこう。
摺り合せも頼んでおかないとね。
学生が割ったガラス器具も、直せずじまい。
というか、割るな。割らないでくれ。頼む。
片っ端から割られるのでガラス細工ばかり。
きついお達しを出さないとダメだな。
学生のうち、一番ガラス細工のうまい(とはいっても、T字管が普通に作れるようになったレベル)者に、「ガラス細工法」の本を渡す。
自分ひとりでは体がもたない。
学生の割った器具は、学生に直させよう。
・・・とは言うものの、直しているところを隣で見ていたらはらはらするので、きっと自分でやっちゃうんだろうけど。



そういえば昨日の飲み会では、東大でもガラス細工はキャピラリを引くだけっていう話だった。
キャピラリを買うところも多いらしい。「T字管ができたらすごい」と言われた。
自分にとっては冗談のようなホントの話なのだが、どうもやはりそういう風潮らしい。
ガラス細工している暇があったら新しい反応を仕込め、ということなのだろうが、やはりさびしいな。
ある人はバーナーが研究室に無いという話だった。
ガラス細工をするのは、古典的な研究のようだ。
グローブボックスがあればシュレンク管もいらない。必要でも業者に頼めばすぐ作ってくれる。TLC用のキャピラリは注文すればすぐに届く。そんな時代になった。
その代わり、研究業績を矢継ぎ早に出さなければ研究費はほとんど無い。じっくり研究をしている暇は無く、すぐにデータが論文になるような研究をしなければならない。
そんな感じでいつもせっつかれている。強迫に近いような心境だ。


おじいから呼び出し。
共同研究というか、原料上げを頼まれた。
仕込み比がわからないと話にならない。
原料や溶媒や反応条件はわかるんだけど、かんじんな原料モノマーの成分比が知りたい。
特許に書いてあるといいけど。
めんどくさいなー。
同じ物性を出せるとは思えないので、テストサンプルを使ってもらって、その結果をもとに条件を振るしかないかな。
やりますやります。やらせていただきますとも。
というか自分で作って欲しいんだが、電気畑の人間にフラスコを振らせるのは無理か。
化学の人だって電気設計しろとか、ファンクションジェネレータを使いこなせと注文されても困るからなあ。
向こうの仕事を手伝いつつ、こっちの材料の機能性評価を手伝ってもらおう。


学生と一緒に実験。
再び毒ガス。ボンベが開かないので難儀する。
反応は小スケールなのですごく早いが、副生成物がいる。あれれ。
次の段階できれいになるだろうと期待して、単離せずに次に進む。



今日も自分の仕事があまりできなかった。
明日はやろう。とにかく一日二時間でもいいので実験時間を確保しよう。
学生の質問は少し取捨選択して、半分に減らそう。
自分で考えて、よく観察して、試行錯誤してくれる学生が欲しいな。

*1:D36。視野が広くて気持ちがいいので一個注文しようと思ったら、今は1.6諭吉もするらしい。どうしてノンコート二群三枚のルーペがそんなにするんだよ。

*2:このぐらいの倍率でないと、結晶構造解析の結晶の品定めはつらい。野外で石を見るには倍率が高すぎる