実験で大量の酸廃液が出た*1ので、ある鉱山の銅鉛亜鉛鉱石を放り込んでおきました。
脈石が石英と方解石で、方解石が脈の空隙部を充填し、その外側に閃亜鉛鉱の結晶が多数付着しています。


方解石は成分が炭酸カルシウムですから、硝酸や塩酸にきれいに溶け、包んでいたものをやさしく見せてくれます。
「方解石は天然の梱包材」といわれる所以です。
ただし、他の酸に弱い鉱物も溶けてしまうので、その点は注意します。
希酢酸などを用いると、苦灰石はきっちり残して方解石のみを溶出させることができます。
化石関係の人は炭酸カルシウムよりなる化石組織を、炭酸カルシウムの母岩よりきっちりと溶かし出します。
酸の種類や濃度には相当のノウハウがあるのでしょう。


3日して引き上げると、きれいな閃亜鉛鉱の結晶がいっぱい出てきました。
黄鉄鉱、方鉛鉱、黄銅鉱の結晶もありました。
亜鉛鉱はスピネル式の双晶がいくつか。透明感のある鼈甲亜鉛です。
脈石の水晶は細い細い針のような結晶が集合してウニのようになっていました。
ここから500kmも離れた産地ですが、また機会があったら行ってみたいです。

*1:少し組成をいじって、混酸マイブレンドにしてはありますが