死んだはずだよお富さん

数日前に、トミノンは捨てたもんじゃないと書いたのですが、では、光学性能について文句を付ける人の少ない三男坊と一騎打ちさせてみます。
ちょうど焦点距離が同じなのは 35mm です。
フランジバックと絞りがぜんぜん違うのですが、だいたいあわせてみました。
被写体は水晶の上にへばりついているファントムアルマンディンです。倍率は3倍程度。
JPEG で撮影してます。本来なら RAW の方がいいんでしょうけど、比較なのでおk。


トミノン 35mm作画例。


マクロニッコール 35mm で同じ露出で同じ倍率の写真を撮ると、こうなります。


絞りの数値が違う(マクロニッコールには絞り値が書かれていない)ので微妙に絞り値が食い違い、被写界深度も異なってますが、およそこんな傾向です。
実は、ドンピシャにピントを合わせると、光軸上の解像度はあまり変わらないのです。
むしろ、トミノンのほうがもうちょっと解像しているかな、と思えるぐらいです。
トミノンは、画像周辺でわずかに倍率色収差が出ます。



ただ、はっきり違うのは、被写界深度の深さと像のコントラストです。
マクロニッコール開放絞りで最高性能を出すように設計されているため、絞るととたんに回折ボケで像が悪くなると広く思われているのですが、同じ開口ではトミノンの方がよりボケます。
これは、レンズ内のアイリス絞りの位置と、絞りの形状(トミノンは六角形、マクロニッコールは円形)によるのでしょう。


光軸付近のピクセル解像は、トミノンではこうなります。


マクロニッコールではもうちょっとコントラストが高くなります。


一つ不思議なのは、被写界深度が(いくら開口を揃えようとしても)マクロニッコールの方が深くなるんですよね。同じ焦点距離で同じ開口なら同じになるようなものなんですが。


というわけで、この程度違います。
値段は、トミノンは2千円で買えるでしょう。マクロニッコールなら下手すると10万します。
この50倍の値段を払ってでも、この程度の写りの差を取るかどうかが論点です。


(追記)じっくりテストしたところ、私の三男坊はどうやら芯が出ていないようです。
あるいは PB-4 の微細なガタによる受光素子の曲がりなのかも。
とりあえず三男坊は分解清掃に出して、それでも像の片ボケが出るようなら、PB-4 は卒業して新しいフォーカシングレールを組むことにします。


(おまけ)一万円札のホログラム