科学研究不正:科学者の良心とは…不正対策で議論−−日本分子生物学会がシンポ

http://mainichi.jp/select/science/news/20071216ddm016040122000c.html

 不正行為は昔からあった。劇的に増えたわけではないと思うが、最近の競争的な研究環境が誘発しているといわれる。研究者として生き残るためには、論文という研究成果を出すことが強く求められるからだ。


 業績の評価方法として、論文が掲載された雑誌によって点数化するポイント制をとる大学がある。医学系なら「ネイチャー」「セル」「サイエンス」の点数が高い。ポイントを稼ぐには格が高い雑誌に載ることが重要で、論文の内容はあまり考慮されない。研究分野の細分化が進み、内容を評価しにくいのだろうが、こうした不自然な評価方法はやめた方がいい。


 医学や生命科学の分野では特に、データを捏造したり改ざんする行為が、結果的に人々の健康や安全に影響を与える可能性がある。研究は出世のためだけでなく、社会とつながっていることを研究者一人一人が理解することが、不正の抑止力になると思う。


 そのためには、研究者を社会の側に引っ張り出すしかない。市民との交流の場に参加することで、研究者が自分の立ち位置を相対的に見直すことができるだろう。科学の社会貢献の方法は産学連携だけではない。社会のニーズに基づいた研究をしていく「社学連携」にも目を向けていくべきだ。


任期を設定されて業績向上に追われ、競争的な外部資金を獲得するために奔走する昨今の研究者にそんな奇麗事は通用しません。