カモ

昨日拾ってきたカモを解体していました。そんなにスプラッタでもないです。


私は鳥を捌くのは初めてではありません。捌きながら健康状態がチェックできます。
以前、バイト先で何匹か鶏を解体し、焼いて食べました。
そこは地鶏を大量に飼っていて、途中で何匹か鶏を追加したのですが、以前からの2つの政権が両立して派閥争いがひどい中、若いだけの新参政治家がうまく世渡りできるはずもなく、何らかの失態のために両グループから執拗ないじめを受け、彼らは孤立してしまったのです。
「ありゃー、こりゃいかん」と思ったのですが、時すでに遅し。
鶏のいじめってものすごく陰険でしつこいんです。人よりひどいです。
日に日にやせ細る新参者を見かねて、上司と二人で解体して、バーベキューでみんなに振舞ったのです。


そんな経験から、チョコマカと皮を剥き、羽根を毟り、胸肉、腿肉、手羽先を確保。
あー、おいしそう。
忘れちゃならない、舌の肉。
ここは、中国では「ヤーシャー」という名前で通っている、カモの珍味なのだそうです。
解体が難しく、根元の軟骨をうまく付けたまま外すことが出来ず、要するに舌だけになってしまいました。
こりゃ難しいや。


人間は主要な栄養素すべてを他の生物を殺して喰らうことで生命活動が維持できます。
例外はありません。
最近はスーパーで並んでいる精肉済みの肉を食べることで、その原罪から完全に目を背けている人が時折見受けられますが、「食」ってそんなに生易しいものではありません。
何千年もの間、中毒におびえながら、いろいろな食材にトライし、その知識を積み重ねてきたのです。
有毒な生物への知識は、過去の苦い中毒の経験を基に成り立っています。
スーパーで並んでいる食品を、何の心配もなく安心して食べられるなんて、ここ40年ぐらいの話です。
日本だって、グリーンピースクロロフィルの固定緑色化に硫酸銅を使ったりとか、いろいろやってきてますよ。
小麦粉に粘土鉱物を混ぜて増量するなんて話もありましたね。
私が狩猟や釣りをしないのは、何も動物愛護協会に入っているからとかではなく、めんどくさくて時間がかかるので手近なところから調達しているだけです。
生活史も見えるので、時間を使って積極的に殺して食べるほどでないからです。
無益な殺生は嫌いです。
しかし、落ちているとなると話は別です。
食べてやるのが功徳というものですよ。


→だいたい食べちゃいました。すごく美味しいですね。
鴨肉は独特の匂いと風味があり、洋酒によく合います。
dubbling duck


正月にも食べてますが、トータルで一匹食べたのは初めてです。
今までチャンスがある限り、いろいろな肉を食べましたが、カモはかなり上位に勝ち上がります。
トップはシカ、2位は豚、3位に入れてもいいですね。一番ビリはアオウミガメです*1
残りパーツでスープを作ってます。
えーと、舌肉はですね、脂こそのっているものの、そんなでもないです。
やっぱり珍味の部類です。
魚の浮き袋を食べているような感じです。
胃袋周りの方がよほど美味しいです。


舌は写真を撮ったのですが、見ます?
苦手な人にはきついカモ。


→けいとうさんのリクエストにお答えして、Flickr に上げておきます。
苦手な人は見ちゃダメだからね!
http://www.flickr.com/photos/fluor_doublet/2236544874/
http://www.flickr.com/photos/fluor_doublet/2236544876/
このピンク色がなかなかいい感じ。


で、残りは「カモがネギ背負ってやってきた」スープスパにして食べちゃいました。
美味しかったです。お腹いっぱい。もう食べられない。


ここまで食べたんだから、成仏しろよ。
車にぶつかって災難だったな。悪かった悪かった。

*1:刺身、煮物などにトライしましたが、喜んで食べる肉ではありません。研究室の飲み会でも缶詰を振舞いましたが、やはりみんな「まずい」と言ってました。