吉作落とし

吉作落としの話は、古い登山家に聞くとそのからくりが見えてきます。
昔は今のような登山用ナイロンザイルがなかったので、棕櫚(シュロ)縄を編んで命綱として用いたのですが、これってひどく伸びるんだそうです。
今のザイルは急激な落下ショックに対しては伸びをみせますが、静的な応力に対してはあんまり伸びません。
棕櫚縄でピッチいっぱいいっぱいで懸垂下降してテラスに下り、ロープ末端に近くなったところで手を放すと、伸びた棕櫚縄が縮んで上に伸び上がってしまい、テラスに取り残される、ということになります。


私が地元の人から聞いた場所は七折越(つづらごし)から下りた所だといいますから、観音滝かあのあたりだと思います。
事故の目撃者がいないのに、なぜ彼の心理をお前は伝承できるのか、と小一時間。
「風雪のビバーク」のように、手記があったならともかく、ねえ。


ふた昔前に、見立から七折越を通って沢に下りて滝の真上に出てしまい、死ぬ思いをしながら滝の真横を下りたことがあります。
こわかった。マジで死ぬかと思いました。
豊栄鉱山では、蛍石の大きな塊を拾ってほくほくしましたけど。
豊栄は、下部に掘り下げていくうちに巨大な蛍石の大鉱体に当たり、20cmを越える巨大な結晶をバカスカ出した時期がありました。
その後、バスに乗って一番奥の集落である尾平に向かいました。
バスは三時間待ちだったのですが、おさつスナックを食べていたら、商店の犬があまりにもねだるので犬と一緒におさつスナックを食べながらバスを待っていたのが昨日のように思い出されます。
あの時は商店のおばさんがすまなそうにおさつスナックの追加を持ってきてくれました。


竹田城下で一番怖かった伝承は、江戸時代の罪人を処刑する台でした。 竹で切れ味の悪いノコギリを作って、通行人にそれで罪人の首を一往復ずつ引かせるのだそうです。
それ、すごく陰険な処刑法じゃないですか?
引くほうもトラウマになりそう。