方解石の中身の行方
例によってまた水晶です。
時間が無いので標本箱が開けられません。水晶は机の中にあります*1。
南アフリカ、オレンジリバーの水晶です。
オレンジリバーの水晶は南アフリカの業者からいっぱい購入したのですが、透明度とツヤが良くて不思議なモノが一つだけ残りました。
オレンジリバーというと、もっと真っ赤ではっきりした山が入っているものが典型ですので、そういうのも残しておけばよかったです。
中に、真っ赤な層が入ってます。
こういうのは、山入りとか、ファントム水晶と呼ばれるとこの間書きました。
これはちょっと不思議なのです。
以下の写真が中の山の表面(山腹?)です。
赤いのは鉄酸化物です。
中の山の上に無色の結晶が付いています。
これは外形からして、方解石に間違いないでしょう。
で、赤いツブツブは斑になってます。これは方解石の結晶が剥がれ落ちた跡でしょう。
不思議なことに、この中の犬牙状方解石の中身は、ほとんどが空で、中に気体が入っているようなのです。
生成の順序としては
- 土台の水晶ができる。
- 方解石の結晶が表面にくっつく
- その上から鉄酸化物が沈殿してくっつく
- その上から、水晶のコーティングがかぶさり、完成する
になるのでしょうが、方解石が抜け出すタイミングが無いのです。
水晶が成長しながら方解石が抜けていくってのもおかしな話ですし。
まさか水晶の結晶構造をすり抜けるはずはありません。
きっと、この方解石は引田天功ばりの脱出マジックをしているに違いないです。
でも、たまに抜け出せなくて閉じ込められちゃうんですよね。
中身の残っているものもあります。
白くにごっているのがそうです。
写真を撮っていると、強拡大をするとどうしても像がぶれてしまい「おかしいなー」と思って何度も撮影台の固定を見直したのですが、やはり結果は同じ。
で、やっと気付きましたが、これは水晶の複屈折なんですね。
r から覗くとわりと複屈折が強くて、そのために像が二重になります。
強拡大だと、ホントにばっちり2つに割れるのでびっくりしました。
こんな感じ。
(メモ)例のごとくプリンちゃん。このレンズはメインレンズになりました。このレンズをここまで多用するのは、世界中ではてなユーザーの2人だけかもしれません。f = 11 まで絞ってます。
拡大は、Zuiko Macro 38/3.5。これも常用です。f = 8。
一枚目は、柱面の反射をほんのわずか混ぜるべきですね。立体感が減りました。
すべての結晶面の反射光の強度は調整して出しているのですが、読みが甘いようで。
そしてホコリ。もうやだ。コンプレッサーを導入します。