天空の城アラカワ

荒川の選鉱精錬所跡です。
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レンガのように見えるんですが、これは鉱石を溶かして還元した後のいらないケイ酸塩や金属酸化物の融解物の「カラミ」を型に入れて固めて積んだものです。正しい言葉では鉱滓です。
型詰めしたものは型ガラミといいます。基本的にはガラスですが、結晶化しているものもあります。
水沢のものや綱取のものはやけに結晶化してます。
古い鉱山跡では、カラミの廃棄に困ったのか、これを建造材にしてたりしてます*1
重たく脆いですが熱には強く、壁の被覆や法面、小さな小屋、煙突*2などに使われることが多かったようです。
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明治−大正期の三菱系や古河系鉱山にはけっこうあります。
荒川の型ガラミの製作写真をどこかで見たことがあるのですが、ひっくり返して二つに分割することのできる転炉みたいな型に放り込んでました。
上の写真を見るに、対角線で二つに分けたみたいですね。
荒川ですと、大直利橋のたもとなんかも型ガラミです。
これで小さな幽閉室を作って、社(三菱)に反抗的な人を閉じ込めたりしてました。
松川とかは円錐の型カラミです、これは型から抜きやすくするためでしょう。

これはレンガにはなりません。ただの廃棄物です。


昭和10年代以降は、そんな悠長なことはしてられないのか、あるいは使い道に困ったのかわかりませんが、型ガラミは作らなくなってしまう傾向になります。
足尾の松木沢にカラミの山がありますが、あの細かさは熱いうちに水中に投入して破砕した感じです。
知人はあの細かいカラミ砂の大斜面をスキーで滑降して遊んでたようです。危ないぞ。

*1:型カラミ建造物といえば持倉です。写真を撮りに行きたいなあ。

*2:錦秋湖弁天島の向こうの大荒沢鉱山精錬所跡にはカラミの大煙突がありました。