鉄の暴風と怪談

私が好んで沖縄に行っていた頃は、慶良間の座間味で宿を取り、夜は民宿のおっちゃんといつもどおり飲んだくれていました。
で、海岸に上げてあったシーカヤックの様子を見に行こうとしたら、おっちゃんが「夜はあそこの海辺は出歩かない方がいいよ」というのです。
「へ?なんで?」と聞いたら、「あそこ、出るから」という話でした。
兵隊さんのお化けが出るんだそうです。
その民宿のある部屋で写真を撮ったら頭半分だけ畳から飛び出している人が写ってたとか、そんな話は沖縄にはいくらでもあるようです。
座間味は、初めて連合軍が上陸作戦を繰り広げた島であり、鉄の暴風の最初の吹きはじめに相当します。
今でも、このあたりの海岸のさんご礁を見ていると、当時の銃弾がいっぱい落ちてます。いまだに。


沖縄の年寄りは、戦争の話は辛すぎて語ろうとしない人が多いです。
てだのふぁ・おきなわ亭も、暗すぎます。
しかし、語り継いでいかなければならない話のひとつでしょう。


座間味と言えば、嫁さん犬の「マリリン」に会いに瀬戸を泳いで向かいの阿嘉島に渡り、逢瀬を楽しんで帰る有名な犬「シロ」の話がありました。
この瀬戸は、カヤックで漕ぐとわかるんですが、けっこう流れが速いんですよね。たいへん。
ここを泳いで渡るんですよ。愛の力ってすごい!
場所はここです。

真ん中の二つの無人島を挟んで、上の座間味の港から、下の阿嘉に住むマリリンに会いに行くのです。
これは映画にもなったので、ご存知の方も多いかと思います。


http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-114994-storytopic-86.html


ここまでならいい話なんですが、その後マリリンは死に、その娘が残ったのです。
今度は、シロは、自分の娘としのびあいを楽しむために瀬戸を渡りはじめるのです。
近親相姦じゃ映画にすると路線が違っちゃいますよ。
この話は、イメージを崩すためか緘口令が敷かれているようです。けものめ。


いずれにせよ、動物は本能でしか動いてないので、人間のモラルを適用するとあらぬ方向に話が転んでしまいます。そんなものです。