マクロレンズの設計

マクロレンズは、焦点距離とは別に設計倍率があり、ここから大幅にずれると思わぬ画質の低下を招きます。
昨今の一眼レフ用マクロレンズは、これがかなりの範囲をカバーするように凝った設計をしているのですが、一昔前のレンズはそうではありません。
最高の画質を出せる倍率範囲がすごく狭いのです。
古いレンズは設計倍率から大幅にずれなければシャープな像を結びます。バカにできないんです。


ここから考えると、マクロレンズの性能は机上の空論では、

  1. 最近設計され、バリバリに ED や多くのレンズの使用で充分な収差補正がなされた、イメージサークルの狭い固定倍率レンズ
  2. 最近設計され、バリバリに ED や多くのレンズの使用で充分な収差補正がなされた、イメージサークルの広い固定倍率レンズ
  3. 一昔前に設計され、固定倍率で充分な収差補正がなされた、イメージサークルの狭い固定倍率レンズ
  4. 最近設計され、バリバリに ED や多くのレンズの使用で充分な収差補正がなされた、イメージサークルの狭い自在倍率レンズ
  5. 一昔前に設計され、固定倍率で充分な収差補正がなされた、イメージサークルの広い固定倍率レンズ
  6. 一昔前に設計され、自在倍率でそこそこの収差補正がなされた、イメージサークルの狭い自在倍率レンズ


の順に画質が悪くなってくるのだろうと想像しています。
設計の妥協点はコストや開発時間や性能の重み付けに依存するので、正確な分類ができるわけではありません。
そんなにシリアスな話ではありません。


そう考えると、マクロレンズの設計側としては、理想的な性能を出すには、1番目を詰めて

  • 急を要する設計でなく、すでに設計の叩き台がある。
  • 非コンシューマ向け。コストはあまり考えない。多くのガラスを採用してもよい。ED ガラスも。
  • F 値は暗いほうが設計が楽。イメージサークルは欲張らない。
  • 固定倍率のことだけ考えればよい。
  • できたら平面複写光学系で、等倍の性能を求めるリレーレンズのような設計が楽。


って言うことになります。


それってモロ Rayfact OFM10090MN ではないですか。


それが売れるかどうかってのはまた別の話。
技術さえあればあとはどうにでもなるってのは技術屋の悪い考え方で、ニーズに合った商品開発をしていかないと、企業としては行き詰ります。
一般人はそんなものは求めていません。ユーザーも、必要最低限のスペックしか求めないでしょう。
まあしかし、ハイエンド・特殊用途ってのはやはり企業の底力を見せ付けるのにはいいのです。
それを上市しても許されるメーカー、そんな余力のないメーカーってのはあるのです。
Rayfact の市場性がそれほどあるとは思えませんが、これを未だに作り続けている栃木ニコンには脱帽します。