湯田のむかしばなし

湯田町教育委員会名義での表題民話ですが、面白かったです。


湯田といえば鉱山の多い町ですが、やはり鉱山の話がたくさん出てきます。
鷲之巣金山では、風化残留した金を多く掘っていたのですが、月十貫目ぐらい取れて、金ばかり出るので誰も銅の鉱石を知らず、黄銅鉱を金鉱石と間違えて選鉱に出したら何も残らなかったという話が出てきます。ホントかよ。


gold2
これは町の資料館に展示してある風倉山の自然金なんですが、なかなかいっぱい付いてます。


自然金って、目に見えたら鉱山ではウハウハなんですよ。
以前は1トン当たり5gが採算の取れるボーダーラインだと聞きました。
1トン採掘して、選鉱精錬して5g出てくれば、モロモロの経費を払っても利潤が出る、ということです。
そのぐらいの品位(含有量)だと、金はほとんどの場合、目では見えません。
目で見えたら、局在化した分布でもトン何10gって単位で入っています。
大昔の日本は、鉱石の金品位が高すぎて石が割れず、捻って鉱脈を切ったとか、切羽が金でキラキラしてたとかいう鉱山伝説がいっぱいあったのです*1
いま、そのレベルの鉱石が多少なりとも出てくるのは、住友の菱刈*2鉱山ぐらいです。
あそこは、貯鉱場が金庫だって噂ですから、間違いなく目で見えます。
それ以外の金属鉱山は、採算割れもしくは可掘埋蔵量の枯渇により全て閉山しました。


でも、メキシコで銀鉱山に入らせてもらってしみじみ思ったんですが、切羽はともかく掘り出した鉱石(鉱車に乗っているもの)って、泥かぶっちゃって何がなんだかさっぱりわからないんですよ。


坑道に入りさえすれば銀の超高品位の鉱石が拾い放題だと思ったのは、私の甘い考えでした。

*1:たぶん4つに3つぐらいはガセ。一つぐらいは実話に基づいている展開話。金の牛が切羽で寝ているって、どう考えたって玉山の金の産状からはありえないでしょ。

*2:今考えてみると、住友なのに菱刈ってなんか変ですね。地名なんですけど