Reprovit IIa

レプロビットというのは、ライツの複写用撮影台です。

↑なんですかこの剛のものは。


ニコンで言うところの PF-4 みたいなものですね。
ニコン PF は Micro 55mm をカメラマウントに付ける用途を想定していました。
もちろん PB-4, PB-5 を頑丈に付けることも可能です。
レプロビットも同じような使い方ができます*1
ただし、PF は折りたたんで木箱にしまうことができるという絶大なメリットがありました。
土地の少ない日本ならではのアイデアでしょう。


http://www.flickr.com/photos/wigwam/3018404410/in/set-72157608800502436/


レプロビット IIa で使っているレンズは Repro Focotar 50mm と書かれています。
強拡大の場合は、Repro Summar 24mm というのがあったみたいです。
Focotar はライツの著名な引き伸ばしレンズの名前です。ファンが多いです。
Repro Summar は、アリストフォト用の Summar とどう違うのか。
探してみても、Repro Focotar という銘の入ったレンズは出てきません。
Repro Summar は、アダプタにこそ銘打たれているのですが、レンズのほうにはただの Summar としかありません。
この場合は複写光学系が引き伸ばし機やアリストフォトのものと非常によく似ているため、そちらのものを使いまわしたとみています。
そう考えてみると、Focotar で野外低倍率マクロ撮影をするのは、別に何もおかしくないのです。
Enlarging という名前をレンズに戴くと、その呪縛から逃れられなくなります。
E-フジナーやエルニッコールで写真を撮るのは何の不思議もありません。
しかし、「おかしな奴だ」って思う人はいるでしょうね。


レプロビットのフルセット、レンズ付きで 1960 年代で $1000 もしたようです。
アリストフォトに比べれば安いでしょう。桁が違います。
アリストフォト I は7本の Summar が付いていました。
アリストフォト II で Milar に切り替わったようです。
このアリストフォトのシリーズによって、ライツ高倍率マクロレンズが高世代化しているみたいです。
次次世代の Photar はいまだに売っており、最後まで生き残った直焦点 RMS マウントマクロレンズになりました。さすがです。
前に、「何で M40P0.75 なんてわけのわからんマウントにするのよ」と書きましたが、これはアリストフォト I の標準となるマウントサイズのようです*2
ポラロイドはこれを引き継いで MP-4 用のトミノンを富岡光学に同サイズで作らせたとみるべきでしょう。


さて、私が海外発注をかけたのはアリストフォト I の木箱でした。
出品者も知らなかったみたいですね。
これって 1930 年代あたりのものなんですよね。
下手するとコーティングしてないかも。まあいいか。
アダプタ類がライカカメラ好きな人にとっては貴重に見えるかも。


ライツの沼はなるべく近寄らないようにしていました。
この会社の普通のレンズは目玉が飛び出るほど高額なんですもん。
とはいえ、高倍率だと Photar, Milar, Summar, Focotar しかないのでそんなに深い沼ではありません。
高倍率マクロマニヤは高解像度マニヤ。当然のように解像力の高いカールツァイスを愛し、ライツレンズはあまり人気が出ません。高いのは Photar II ぐらいです*3

*1:正確には、PF はレプロビットより後発ですので、ニコンが真似しているのです

*2:これをずっと踏襲していたのですが、最新の Photar II ではとうとう M39 にダウンさせたようです

*3:昨今の相場ではPhotar I は一本3万が上限で取引されていますが、Luminar の上限は旧タイプ5万、新タイプ8万ぐらいです。Summar, Milar なんてこれに比べれば投売り状態。