鉱石と鉱物

いろいろウェブで調べてみると、鉱物標本に「鉱石」という名を当てるもう一つの流れが見えてきます。
コテコテのコレクターでも、学者さんでも、ヒーリングでもないもう一つの客層。
きれいなものを集める女性客ですね。男性でもかまわないんですが。
この層のお客さんは、「鉱石」という言葉に愛着があるようです。
業者は、古いレトロな匂いが漂う(?)この言葉を駆使し、積極的に利用している節があります。
キーワードは「宮沢賢治」。
宮沢賢治の時代は古い言葉が多く、淘汰されてしまった語句や用法が数多くあるのですが、私の中では「鉱物」「鉱石」に関しては彼の文章はわりと正確に使い回していた記憶があります。
この間「結晶する」って動詞は今はあまり使わないよーって書いたのですが、彼の文章には「結晶する」「化石する」が出てきます。
ただし、その時代、みんながみんな使っていたかというとそれは疑問です。
文学的表現に近いものなのかしら。
その層の女性客をターゲットにマーケット展開しようとするなら、むしろ「鉱石」という言葉を選んだ方がいいかも、という雰囲気が読めてきます。


そのような背景も手伝ってか、「鉱石」の誤用が目立ちます。
おんなじ石じゃねーか、と言われればそれまでなんですが。
「鉱石ラジオ」は、鉱物の半導体的性質を利用したものなので、「鉱物ラジオ」が正しいのでしょうが、今さらそんなことを言ってもはじまらないし。
普通の業者はより正確な語句を使おうだなんてこれっぽっちも思ってません。売れればいいんです。