天空の城モチクラ

どうも車のエンジンのフケが悪く、嫌な感じがするため、採集に行かず次回の散策の下見。
持倉の銅鉱山に立ち寄ります。この界隈の鉱床分布の調査資料をやっと手に入れたので、時間が出来たら散策予定。えらく範囲が広いのね。
今回は、持倉に写真だけ撮りに来ました。


ここは、大正期に作った銅の製錬所の建物がまだかなり残っています。
荒川などと同じく、型ガラミ*1の建造物で、腐らないので閉山後もずっとそのままです。
未舗装道をしばらく運転し、車を降りてから15分も歩くと、製錬所跡に到着します。
道は半分崩落していて、5分ほど沢をへつる(といってもそんなたいしたものではない)と、いきなり森の中に製錬所跡が出てきてびっくり。ローマの遺跡ですか。
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アーチ状の窓がとてもよい雰囲気。
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気分は完全に、ラピュタをはじめて見たパズー。
か、ムスカ状態。「バカどもには良い目くらましだ」と。
鉱物産地はずっと奥です。
まあしかし、これは一見の価値があります。
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旧三菱系、旧古河系の型ガラミは四角柱状ですが、型から抜きやすいようにちょこっとテーパーが付けてあります。
あるいは、時期にもよりますが、円錐ってのもありました。
http://d.hatena.ne.jp/doublet/20080612#p2
ここの型ガラミは、完全に直方体なんです。つゆねこさん的表現では正方晶系。
これじゃ型から抜きづらいでしょうに。
荒川の型ガラミは半分に割れる型に流し込んで固め、型を開いて取り出していたのです。
ここのカラミ煉瓦のサイズは、見たところ3種類ぐらいの大きさのものを使い分けています。
この製錬所を建造するために、わざわざ金型を複数設計したんでしょうか?謎。
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半分の施設は屋根こそ落ちているもののほとんど無事。もう半分は崩落して自然に帰りかけていました。
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廃墟マニアの聖地である端島軍艦島)は炭山でした。
鉱山って、閉山になるとその瞬間に人が散り散りになり、大規模な廃墟が一丁出来上がりになります。
廃墟マニアは、松尾や秩父などに多く出没するのだそうですが、鉱山や鉱物のこと、選鉱精錬のこと、そして鉱山で働いていた人々の人間関係のことをもっと掘り下げて調べると、より理解が深まるかと思います。
「オレのポケットには大きすぎらぁ」ってことで、私は廃墟を横目にいつも鉱物を探すのでした。

*1:銅製錬の際に融解した銅の上に浮いてくる、ケイ酸を多く含んだスラグを型に入れて固めたもの。鉱滓。