リバイバル

学生時代に作った化合物を再度合成しています。
あの頃はまだ、力で合成する人でしたが、最近は技術でカバーするよう心がけています。
しかし、あのころより合成のダイナミックレンジは格段に増え、大きい方は10リッター釜を回すようになりました。
実験室の限界ですね。
シャチョーは 1000L GL でやっていることでしょう。


以前までは、でかくやればやるだけ収率は上がり、単離の際の純度もあがると思っていました。
蒸留での単離操作は、確かに量が多いほど有利なんですが、収率は意外とそうでもなくて。
特に、厳密な禁水、禁酸素条件ってのは、おっきい釜では難しいのです。
冷やす方も、おっきい釜は中まで冷えないし。-40℃以下ってのは難しくて。
つまりどういうことかと言いますと、腕っこきの研究者が根性入れて実験室で10リッター釜を回したときが一番収率が良くて、それより小さくても大きくても収率が下がるよ、ということです。
10リッターセパ釜ならまだ真空引きできるし、焼き出せるもんな。
そして、研究者が合成に苦労するような化合物は、およその場合、産業には使えそうもない、というところが見えてきました。