複数客、出発前にガイドに「中止を」 大雪山系遭難

http://www.asahi.com/national/update/0719/TKY200907190369.html


Laurelin さんのところで知ったのですが、これから、今回の遭難が人災の色が濃いのがはっきりわかります。
お客はそのまま避難小屋に居座って「黙れ小僧!おまえはクビだ!」ってクビにして、衣類乾かして、低気圧由来の強風が過ぎた次の日に下りればよかったんですね。
他の、装備がきっちりできてる若い健脚グループが小屋から嵐の中出て行こうと、避難小屋で楽しく酒飲んでればよかったんです。
飛行機には間に合いませんけど。死ぬよりはまし。
山の上なら、疲労凍死は季節を選びません。北海道ならなおさらでしょう。
停滞沈殿ってのは、どんなに経験のある山屋でもやるんです。
それ以前に、低気圧が横切るなら山に入らないという選択が一番正解。



今回の「ガイド」は、ガイドらしい仕事をしていません。
してないどころか、結果的に悪い方にしか転がしてませんよね。
最後の下りでお客をポロポロ捨ててったってのは、弁明の余地無し。


それにしても、シャチョーの発言には毎度毎度、むかっとします。
普通はね、パーティー登山のときは、一回広いところで全部装備をチェックして、荷物割り振るんですよ。
要らないものはそこで落とし、足りないものはあわてて補充します。
食料も、体力のない人は、一日目の食料を担がせたり(途中で消費するから楽なのです)、装備が不十分ならそこで指摘するべきです。
ですが、シャチョーが言うには「必要なものは事前に連絡してある。防寒着も冬用を持ってこいって」って。
冬用の防寒着って、知ってるんかね?ホントに冬用を持ってくるんかね?
もうちょっとみんなで集合したときに仲が良ければ互いの装備を確認し合って、明らかに足りなさそうなら、秀岳荘でもどこでも途中で寄って、買い足せたんですけどね。
これは公募型パーティーの落とし穴なのでしょう。
安全管理の機構がないのはおっかないことです。


それと、いろいろなところで中高年登山がなんたら、って書かれています。
NHK の深田百名山関係のショーバイに釣られて山登りを始めた人もいるでしょう。
でも、中にはもちろん、高校時代から山岳部で、会社に入ってからも山岳会で山を登り続け、技術を磨き続けた中高年登山者もいます。まぜるな危険。
そういう人はガイドなんか雇わないでしょうけど。
中高年をみんな悪者にしてはいけません。


厳しい山に多く入り続けると、いつか山に呼ばれます。
これはしょうがないことなのです。
自然の気まぐれ、自分の不慮の体調不良につまづくんですね。
確率的には低いんですが、厳しい山をめざし、入山日数が多くなると、それに引っかかってしまうのです*1
私が子供の頃、ウチに来て飲んで騒いで、いろいろ教えてくれた人たちは、ほとんどが山に呼ばれてしまいました。
廊下の端でシュラフで丸まってた U さん、もっこりがかっこいい Y さん、石川さゆりが大好きだった I さん。
みんな死んでしまいました。


なんで山登るねん?


(追記)
気になって調べてみたら、この社長、日本山岳ガイド協会の傘下のマウンテンツアーガイド協会のカシラなのね。
ってことは、JMGA のガイド資格は持ってるんですね。
ガイドも金儲けに走っちゃうと、安全なんて考えなくなっちゃうのね。だってそうでしょ?
JMGA は、これについて、どういう対応を取るん?


(さらに追記)
ガイドも客も真面目に防寒や雨対策を考えてないのかと思われます。
ガイドも客も死んでますから。
今風の公募型ツアーでは、携行物所持に対する強制力をガイドが有さない限り、持ってこいと言ったものを持ってこないで事故を起こしたのは客にも責任があるでしょう。やっぱり両方に問題があるのだと。
今後は司法の場での決着になるのでしょうが、

  1. ガイドが観天望気を読み違え、暴風雨の中を出発したのが多くの死者を出す直接原因となった
  2. 客の複数が、ツアー停滞を提言した。ガイドは30分出発を遅らせた
  3. 客は、不十分な装備しか持ち合わせていなかった。持ってこいという連絡はあった
  4. ガイドが客にペースを合わせず、ポロポロこぼして夜通し無理矢理下山した

という点を考えても、かなりの業務上の過失は免れますまい。ガイドしてないんですもん。
間違いをリカバリーする機構が何一つとして機能していないのは、悲惨です。

*1:谷川は、1000日入ると死ぬと言われています。