こころの旅

10代の終わりから、20代前半、心理学の本ばかり読んでいた時期がありました。
出会ってもっとも良かったと思える本は、レインでもユングでもなく、発達心理学のこの本でした。

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)


この、重みがあり、静謐で精緻な、かつ読みやすい神谷氏の文章は、まるで宝石のよう。
何十回読んでもいいですよ。この本にはそれだけの価値があります。
情報化社会は、取るに足らない、繰り返し読むに値しない駄文(例えばこの日記のような)のウンコリソースを量産する結果になってしまいましたが、知性と推敲で練りに練られた宝玉のような文章というのはやはりあるのです。
高校時代に、みすず書房晶文社、そして草思社の出版物を好んで読みあさったのは、幸運でした。


自分のアイデンティティの帰依するところを見いだすのは、大事なことです。
バッサリ斬られたからって、脊髄反射みたいに攻撃してはいけませんよ。
ちっぽけな存在ではあるが、なかなか捨てたもんじゃない自分。
これを過不足なく正当に評価できるようになることから、ゆっくりと歩を進めて行こうじゃありませんか。ねぇ?


(追記)新装版は解説が米沢先生なんですけど、先生のエッセイも好きです。
軽みの中から(どう隠しても)にじみ出てしまう知を感じさせます。


アモルファスな話 (NEW SCIENCE AGE)

アモルファスな話 (NEW SCIENCE AGE)