南部石

nambulite
南部石(nambulite), (Li,Na)Mn4Si5O14(OH), tric., P-1.
岩手県九戸郡大野村舟子沢鉱山
国立科学博物館蔵.標本番号:NSM-M18829 (type specimen)
撮影幅 : 3.5 cm
舟子沢の南部石です。タイプ標本。詰まっている黒褐色のビール瓶みたいな色のはネオトス石。
舟子沢鉱山は北上の層状マンガン鉱床でも一番北に位置し、明治末から昭和40年代まで細々と2条の鉱脈を掘った由緒正しい鉱山です。
50度ほどに傾斜した主脈をジワジワと掘っていたのですが、下部に行くと尖滅し、その時点で採鉱を止めました。
この間行ってみましたが、沢沿いの杉林の中で、現在は通洞も崩れてしまい、何も見つかりません。鬱蒼とした杉林の中です。

南部石はここで見つかった新鉱物で、ちょっとオレンジ色をしてますが、いかにも三斜晶で、バラ輝石やパイロクスマンガン石によく似ています。
ですが、分析の結果、これには多くのリチウムが含まれ、新鉱物として認定されました。
今では世界中の産地から見出されている南部石ですが、北上の小さな小さな鉱山から見出された、宝石のような鉱物です。
鉱物名は先日鬼籍入りされた東北大選鉱精錬研の故南部松夫先生 (1917-2009)にちなんでいます。