モナズ石

「モナザイト」という名前で世を馳せた、モナズ石。
福島県石川郡石川町塩沢のものです。ペグマタイトの灰色い石英に埋没しています。これが風化分解すると、比重の大きさから砂鉱として溜まり、これを採掘することも。
monazite
モナズ石(monazite), CePO4, mon., P21/n.
福島県石川郡石川町塩沢
国立科学博物館蔵(櫻井標本).標本番号:NSM-M33989
撮影幅 : 3.3 cm


成分はセリウムのリン酸塩で、花崗岩ペグマタイトなどに時折見られます。
このセリウムサイトはほとんどの場合、程度の差こそあれ他の希土類を含み、セリウムのモル比を越えるものになるとランタンを端成分とするランタンモナズ石、ネオジムを端成分とするネオジムモナズ石などのアナログがあります。
およその場合、セリウムはモル比で半分、ランタンが四分の一、残りが他のランタノイドです。
んで、しばしば、一周期下のアクチニドであるトリウムやウラン類を含み、このために放射性を示すことが多いのです。多いものではモル比で10%近いトリウムを含有し、そこそこ強い放射性があります。
ラドン温泉に放り込まれたのはこのためです。
トリウム源などの利用としてはそれでもいいのですが、ランタノイド系の希土を採るためにはそれだと都合の悪いことがしばしばあり、トリウムやウランを含みづらいバストネス石が好んで用いられるケースも多いようです。


ウランやトリウムの分裂に由来するヘリウムガスがこの石の中に多く含まれており、加熱してヘリウム原料としたこともあったそうです。