櫻井鉱

櫻井鉱は、櫻井先生が紫綬褒章を受章された際に献名されたインジウムを含む鉱物です。記載は加藤先生。
写真は巨大なタイプ標本で、右上の緻密な部分(ちょっと緑がかった灰色)が櫻井鉱を含む部分です。怒涛の標本。
Sakuraiite
櫻井鉱 (sakuraiite), (Cu,Fe,Zn)3(In,Sn)S4, tet.
兵庫県朝来郡生野町生野鉱山金香瀬坑
国立科学博物館蔵、登録番号:NSM-M15843 (タイプ標本)
標本サイズ: 12.6 cm


ゼノサーマル鉱床である生野鉱山のいわゆる輪状鉱の一部分に生じる、インジウムリッチの部分です。
独特の破断面を示す緻密な塊状で、密雑に硫化鉱物が混ざり合っています。
色は黄錫鉱と混じりあったためのもので、純粋な櫻井鉱は、やや緑がかった銀白色。
横の金色は黄錫鉱、閃亜鉛鉱―石英帯を挟んで、下に黄銅鉱が出ています。


こんな立派な標本がタイプだとは知りませんでした。


IT産業には無くてはならないインジウムですが、豊羽鉱山(北海道)、生野鉱山(兵庫県)をはじめとして、ちらほらとインジウム含量の高い鉱石をかつては産しました。
生野鉱山は鉱量枯渇で、豊羽鉱山は下のレベルに掘り下がるに従い、坑内水の問題と地熱による坑内保安が確保できないために操業を停止しました。