ポルックス石


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Bernic Lake, Lac-du-Bonnet area, Manitoba, Canada
width: 7.1 cm


ペグマタイトで有名なイタリア、エルバ島で見つかったセシウムを主成分とするケイ酸塩鉱物、ポルックス石です。
結晶構造から、方沸石のセシウム置換体に相当します。
この写真(↓ mindat) とか見ると、それがよくわかります。
http://www.mindat.org/photo-331224.html


ギリシャ神話の双子の神、カストルポルックスの名前が同時に産する二つの新鉱物につけられましたが、片方のカストル石はペタル石(旧名は葉長石)と同じ鉱物だということになり、こちらは消滅しました。
花崗岩の塊そこね成分の吹き溜まりである「ペグマタイト」に稀に見られます。
今は、アフガニスタン産がたまに市場に出てきますね。
日本ですと妙見山(茨城)で記載されています。ただし、石英にそっくりな真っ白な塊状の産状なので、よほど質感に対するセンスが無いと見つかりません。
アルカリ金属で一番軽いリチウムを含むカストル石と、一番重いセシウムを含むポルックス石が兄弟で、しかも同時に産するというのは考えてみれば面白い現象です。
イオンサイズおよび硬さがちょうどいいカリウムが優先的に消費され、次にナトリウム、最後に残ったリチウムとセシウムルビジウムが、いろいろヘンテコな鉱物の原料となるのでしょう。
ルビジウムは量が少なく、まとまった鉱床を作りませんが、セシウムを置き換えて混じりこんできます。