もうこねえよ。ぷんぷん。

doublet2004-11-07

アンチモニーの鉱物を探しに、山に行ってきた。
採掘した記録がないので、露頭だろうと思うのだが、何度行っても現地にたどり着けない。
付近に3鉱区が設定してあるが*1、その場所は鉱区には入っておらず、
鉱種にもアンチモニーの記述はない。
その周りには菱マンガン鉱や方鉛鉱が転がっている沢がある。


そのあたりは地名が地名だけに、アンチモニーは十分期待できた。
ここは珍しく、アンチモニーの古い和名が地名に付いている。
この情報だけで場所がわかるだろう。
アンチモニーの和名が地名になっているところは、日本には何ケ所もないので。
一ケ所はすごく有名な所だ*2
ただし、この場所に関して言えば、国土地理院の地名の標記の位置が間違っている。
このトリックに引っ掛かって、以前一日潰した。
よくまちがってるんだよね。国土地理院。読み方が違うなんてのは日常茶飯事だし。


地名に付く程アンチモニーが出るなら、さぞかし立派なものが現地にはあるのだろう。


虱潰しに文献を当たってみたら、広域調査や金属事業団の調査には
何も書いてないが、半世紀前の付近の地下資源調査報告に Sb とだけ書いてある。
これで大凡の位置がわかった*3


問題とする山の北側の沢を上がるのだが、これが滝の多い沢で
連チャンで15mクラスの滝が何度も出てくる。
直登はほとんど不可能。沢が深くて滝の周りは岸壁ばかり。
巻いて上がるのもかなり怖い。
以前、滝の多さに退却したが、今回はザイルを用意した。
巻いて一息つくと、また次の滝が見える。この繰り返し。
うんざりするが、転石には新鮮なアンチモニーが見える。
どうやら花崗岩の割れ目に入った石英脈にくる輝安鉱らしい。
黄色、鮮赤色の二次鉱物も見える。毛のようなアンチモニー鉱物も見える。
転石でみる限り、アンチモニー鉱物の結晶は2cm程。
水晶のガマに立った自形の結晶も期待できそう。
転石に勇気づけられ、ホールドのほとんどない崖をよじ登る。


3km足らずの沢を4時間かけて上がると、最後に20mが3段の滝にぶち当たる。
状況から判断するに、多分すぐ上に露頭がありそうな感じだが、どうやっても滝が巻けない。
そうこうしているうちに2時になった。これ以上時間をかけると明るいうちに降りられない。
深い沢なので2時なのにもう暗い。
頭の中で「総ー員、退却ゥー」のかけ声がする(映画「八甲田山」風)。
いや、「天は、我々を見放した」かな?
もうこねえよ、と2chっぽい捨て台詞を吐いてみる。
きっと、上まで行ってもいいのは取れねえよ、ということにしよう。
ちょっと悔しい。
まあ、転石採集でもそれなりのものが見つかったので、それなりに成果はあった。


帰りは大変だった。
捨て縄でスリングを作り、やっとのことで下りてきた。
誰か、沢登りに自信のある人は行ってみて下さい。採れるかどうかは保証しませんが。
ナメコも取れます。



途中の林道も狭くて、しかもガードレールがないので怖かった。
凶悪な林道ではないけど。
凶悪さでいったら、この間ダムを作った脇を入っていく放射性鉱物産地*4に行く林道。
あれがマイベストかな。
林道の道幅は、車の幅いっぱい。右は崖と上から落ちてきた落石が積もっている。
左はガードレール無しで、沢まで30ー50m近く落ち込んでいる。
ターンする所もほとんどない。
で、大石だらけ泥だらけで、止まると泥にタイヤを取られる。
怖くて、20km/h以上の速度で走れない。
ハンドル操作をちょっと間違えると、谷底に落ちるのは必至。
ドアを開けても、車の横がすぐ崖なので、危なくて降りられない。
こんな道が20km続く。
よく路肩がくずれないなあと、感心する(しかもゲートも付いてない)。


んで、最後の最後、出る所のポールに「マタキテネ」とスプレーで書いてあるんだよね。


もうこねーよ。



写真は家においてあったバイクのタイヤの中で子供を産んだ猫。

*1:県採登210, 615, 617

*2:もっとも有名なアンチモニー産地

*3:ただし、行ってみて判明したのだが、この調査も現地まで辿り着いてないようだ

*4:ピンクの石英がいっぱいある