戦後復興期を支えた国内鉱山
東日本も、昭和20−30年代に中小鉱山開発のブームが起こったようだ。
ピークは、昭和20年代後半。
このブームの立役者が朝鮮戦争による特需なのは確かなのだが、背景には様々な要因があり、背景は鉱種によって異なる。そして、火消し役は輸入自由化だ。
鉱山の経営は投資の回収という基本原理を背負っているため、相場に大きな影響を受ける。
輸入自由化に伴い、競争力のない小鉱山は、ことごとく閉山してしまった。
もちろん、鉱山技術の進歩も大きい要因だ。たとえば、昭和20年代後半からの、優秀なボーリング機の投入による試錐技術の向上。充填採掘法の完成。細脈堀の技術向上。探鉱技術の革新などなど。
また、森林開発に伴う林道の造成、深山の開発などのきっかけ作りの影響も大きそうだ。
以下、鉱業に関係した戦後の年表。
- 昭和18年 金山整理令(金鉱業整備令)。国内のほとんどの金山が閉山になる。
- このころから、中小鉱山は整備され、大鉱山に重点的に設備および人員をまわすようになる。
- 昭和19年 硫黄鉱山整備令
- 計画性のない、経営を度外視しためちゃくちゃな採掘により、ほとんどの大鉱山の採掘品位が極端に低下。
- 昭和20年 終戦。敗戦による混乱と虚脱。大中小を問わず、70%近くの数の鉱山が旧山もしくは閉山した。
- 労働組合法公布。
- 昭和21年 政府による金鉱探鉱補助制度開始
- 昭和22年 銅鉛亜鉛アルミニウムの金属種に対し、価格差補給金支給
- 肥料の緊急増産により、硫黄もしくは硫化鉱の開発がさかんに行われる
- 政府による開発融資金の増強、滞貨買い上げ
- 労働基準法公布。
- 昭和24年 ドッジラインに沿ったデフレ対策。大不況。多くの鉱山が閉山になる。
- 銅鉛亜鉛の価格差補給金支給制度の廃止
- 昭和25年 朝鮮戦争勃発。すべての金属の相場が高騰。
- 昭和27年 朝鮮戦争終結
- 昭和28年 電源開発ブーム 銅を筆頭とする金属の市況が好転
- 新金管理法公布(金の自由販売制)
- 昭和30年 欧米の景気好調に乗る形で、輸出増大
- 昭和32年 金融引き締め政策 非鉄金属の相場の暴落
- 昭和34年 岩戸景気
- 昭和36年 銀、ニッケルの輸入自由化。その後
3数年かけ、全種の金属の輸入が自由化される。- 金融引き締め。
- 昭和38年 銅の輸入自由化
- 金利引き上げ。
- 昭和39年 ベトナム戦争勃発。鉛、亜鉛の輸入自由化。