捨ててあるのではありません

知人の石掘り道具が盗まれたそうだ。
ある著名な産地の露頭を崩していたようなのだが、日も暮れかけて道具を現場に置いて帰ったら、次の週にはなかったらしい。
現場においてある道具は、「現在、ここが有望そうなので頑張っています」のしるしなので、その周囲を避けて掘るのが暗黙のルール。
道具を持って行くのは窃盗。
もっとも、範囲の狭い産地でこれをやられても困っちゃうんだけどさ。
オレは道具を置いてテリトリーを主張するという行為にはあまり意義を感じない(というか、そんなに足繁く同じ場所に通わない)のでそういうことはしないが。
個人的な考えとしては、あまりいい思い出のない習慣だ。
まあ、一週間置きっぱなしってのも不用心な話だし。


その人の道具はクセがあるのですぐわかる。


昔の砂金掘りのような仁義はとうに廃れたので、道具は置いて帰らない方がよいでしょう。


道具で思い出したが、石頭の形状は鉱山によってかなり違うようだ。
もちろん鉱石も脈石も鉱山によって様々なので、鉱山の金物工場が、その場所に特化したものを作るのは当然のことだ。
タガネの大きさ、焼き入れの加減にも応じているのだろう。
マンガンのクソ堅い石を割るのと、坑道の中で水晶の脈を押すのとでは、タガネだけではなく石頭も使い分けた方が成果が上がるのかもしれない。


「弘法筆を選ばず」の言葉通り、道具に凝るよりも技術を上げろという正当なツッコミはごもっともなのですがね。