id:kinkinkinokino さんからバトンを頂きました。
まわしていただき、ありがとうございます。
きれいなキノコの写真を楽しく拝見しています。
私は植物には疎いので、キノコの種を同定するのは困難ですが、山にたまに行く関係から、キノコはよく見かけます。
この一年で日記に写真を紹介したのは次の二つです。


http://d.hatena.ne.jp/doublet/20050723#p1
http://d.hatena.ne.jp/doublet/20050820#p1


バトンのほうですが、お題は「石」ということですが、きのこの設題を石に置き換えたものに設定させていただきます。
実はGW以降、石の採集に出ていないので、強い禁断症状が出ています。

いちばん好きな石は?

もちろん水晶です。
地殻中に最も多い元素である酸素と二番目に多い元素であるケイ素が結合した、最もありふれた鉱物*1であるにもかかわらず、大変ユニークな特徴を多く示します。ケイ素の周期表の一つ上に位置する炭素が二酸化炭素として安定に存在するのとは異なって、ケイ素は二重結合が不安定であるために、二酸化ケイ素は無機高分子であり SiO4 の無限の鎖が連なっています。この鎖は三回らせん軸をもち、このらせんの右と左に基づく左右が存在します。左右が存在する結晶は全体の十分の一もなく、石英は最もありがちな組成の鉱物なのですが、実はかなり特殊な構造です。しかもこれに熱をかけるとらせんの軸性不斉を保ったまま原子の位置が少しずつずれ、六回らせん軸の結晶相に転移し・・・
のような話は書き出すときりがないのでこの辺で。
水晶の楽しいところは、水晶はその色や光沢や形に独特の「顔」があり、一つとして同じものがありませんし、多種多様のバリエーションがあります。
色では赤、紫、青、黄、黒、灰、ピンク、オレンジなど、着色の原因はさまざまですが、いくら眺めても飽きません。
それと、どこにでもある鉱物なのがいいところです。水晶の産しない県は日本にはありません。
ありふれていますが、澄み切った美しさ、シャープな結晶美をすべてのひとに教えてくれる楽しい石、それが「水晶」です。
鉱物採集はよく「水晶に始まり水晶に終わる」と言われます。異論のある方もあるでしょうが、私はこの発言に賛成です。学問の目から見ても非常に興味深い対象です。

おすすめの石の本は?

今まで鉱物関連の本を読まれたことのない方には、堀さんの薀蓄が読める「楽しい鉱物図鑑」をあげておきます。
私は保育社の「原色鉱石図鑑」で育った世代ですが、この本はお世辞にも読みやすい本ではありません。
それでもぼろぼろになるまで読みましたが。
手軽に入手できる鉱物採集のガイド書も以前に比べ多く出版されるようになりましたが、ステップアップとして、ぜひ文献を紐解き、論文や報告書とにらめっこして現場をくまなく探し、新産地を開拓する愉悦を味わっていただきたいと思います。事故だけは気をつけて。
というわけで、学術雑誌、大学紀要、報告書、地質図幅も「おすすめ本」としたいです。

お気に入りの石採りスポットは?

東日本です。
正確な位置をばらすと地主に迷惑がかかる可能性があるので細かく書きませんが、秋田、岩手、宮城、山形、福島、新潟、栃木、群馬、埼玉、山梨、長野によく出没します。
少しずつ散策範囲をずらしているので、あまり特定の場所には通いません。
去年は羽越、奥羽、北上、会津にちらほら。
今年は上越秩父足尾山地がメインかな。

よく夢に見る石は?

やはり水晶です。
ハンマーを振り上げて水晶の生えている穴(ガマまたはカマといいます)をほじっている状態、珍しい水晶を採集できて喜んでいる状態が多いです。
実際に寝床で手を大きく振り下ろし、体に腕が当たって起きたことも(苦笑)。

最近、石について、不満なことは?

何といっても本業が忙しくてなかなか採集に行けないことにつきます。
とにかく一月に一回はガマを開けて水晶を掻き出さないとストレスが溜まる一方です。
あのゾクゾク感は絶対にやみつきになります。
たとえ空振りでもかまわないので、とにかく山に出たいです。

バトンを渡す人

id:magurit さんのブログが好きなので、ぜひ受け取って欲しいです。お題は「音楽」でお願いします。
もう一人は、がんばっている id:ashino くんに。お題は「筒井康隆」で。


不思議なことにこのバトンは事項の指定ができるみたいです。
「科学教育について」とか、「造岩鉱物」について*2、とか、詳しい人の話を拝聴したいですが、皆さん忙しそうですのでやめておきます。

*1:存在比では長石がトップのようです。

*2:造岩鉱物バトンって、いいかも