Ametrine

アメトリン(紫水晶と黄水晶の混じり)@Anahí Mine, Santa Cruz, Bolivia.

Nikon Micro-Nikkor 55mm F3.5/D80


紫水晶と黄色の水晶が交じり合ったもので、amethyst + citrine = ametrine です。
ボリビアの名産品で、大変色が鮮やかなきれいな水晶なのですが、惜しむらくはここのアメトリンはことごとく融蝕されています。
で、サイズが大きくて高価な標本ばかりだったり、あるいはかち割りで結晶面が出てなかったり、あるいはスライス標本だったりと、なぜかいい標本に出会う機会がありませんでした。
が、4cmと小振りで、色もまあまあ、小さくてもかち割りでなくダメージの少ないものをやっと見つけました。
結晶成長後にひどく溶けています。底面 (0001)っぽく先がへこんでいますし、菱面は凸凹で、三角形の蝕像が多数見られます。
柱面も同様に凸凹です。というか柱面なんてほとんどわかりません。

↓縦に黄色い部分が脈になって走っているのがわかりますか?


全体が溶けたような感じなんですよね。よほどケイ酸分の少ない熱水が成長後に襲ってきて、一つ一つの結晶がバラバラにほどけるまで溶かされちゃったのでしょうか。


Anahí Mine、一度行ってみたいですね。


発色の原因は紫も黄色も鉄で、紫は CT、黄色は三価の dd遷移だと言われていますが、同じ結晶でなぜ二つに分かれるのかは謎です。
この二つの色がブラジル式双晶で、いわゆる「放射能マーク」みたいに色が区切られているものもあり、なぜ二つの色が出るのか、いまだに考えてもわかりません。
結晶が成長していく際に鉄イオンがケイ酸表面を置換したり網目にもぐりこんだりする吸着速度が、結晶表面のケイ酸の並びによってイオンごとに違うのだとは思うのですが。
あるいは、ブラジル式双晶は、左水晶と右水晶の組み合わせですから、左右の違いが不純物濃度の違いを引き起こしている・・・・とか。
そんなのありえねえ。