被写体
某誌のレンズカタログを見て気付いたのですが、マクロレンズの作例がことごとく花なんです。
さすがに海野氏は虫なんですが。
別に花を撮るのが悪いというわけではないのですが、数センチの花の小さな蘂にピントをあわせて、前後を思いっきりボカした写真って、案外つまらないなあ、と思いました。
海野氏の写真は、モチーフも表現法もメッセージもわかりやすく、大変素晴らしいものです。
キヤノン MP-E が売れない理由もそこにあるのでしょう。がっちりした撮影台や三脚を組んで、強力なフラッシュを
用意して、ナイフエッジのピントを合わせてまで撮影したいモチーフを、すべてのカメラマンが持ってるかというと、そうでもなくて。
花の造形美は確かに素晴らしいのですが、そこから何のメッセージを伝えるのか、それが問題かな、と。
はじめにモチーフがあり、次に被写体があり、そして撮影に必要な機材があって、最後に撮影技術が要求されます。
マクロレンズを使わなければ表現できないモチーフをあっためるのが、なかなか難物らしいのです。
昆虫はそのような点からは理想です。そこそこに大きく、細かい所までよくできていて、
しかも動物で生態があり、動きがあり、営みがあります。
私は結晶の造形美を撮りたいがためにデジタルカメラを買ったのですが、これはこれで不思議な被写体です。
大きいのから小さいのまで相似なんですよね。小さな結晶を撮ろうとすればものすごい手間がかかりますが、大きな結晶が入手できればそこまで苦労しなくてもいいのです。拍子抜けです。
いずれにせよ、人の写真を見ることで勉強になった一日でした。
さて宿題しよ。