ダンビュライト

コネチカット州ダンブリーで見つかったのでダンブリ石(ダンビュライト)というのですが、四角柱状の鉱物です。
トパズ(トパーズ)の結晶によく似ていますが、トパズに特徴のある長軸方向に垂直に発達するへき開が無く、より軟らかいです。
しかも希産で、ホウ素を含んだスカルンにたまーに出てくるくらいなので、山ではほとんど出会えません。木浦とか、ありそうなものなのに。


Danburite (Japan)
これは土呂久のものです。以前、中島飛行機(今の富士重工)が戦争の終わる前にチョコマカ掘っていたそうです。
この話は「口伝亜砒焼谷」に載っているのですが、掘り下げてダンビュライトだけ掘り出して水洗いし、ガラス用材料として出荷していたようです。
ダンビュライトはホウ素を含み、融解すると透明なガラスになります。
このガラスを潜水艦の潜望鏡に使ったんだと書かれていました。


今の土呂久ではきれいで大きいものはほとんど見つかりません。
山向こうの尾平も古くから知られていた産地です。こちらはたまにきれいなのが出るそうです。


市場では、メキシコ、カララのものが数年前にはずいぶん出ていました。
最近はどうなのでしょう。あまり見かけませんけど。
光沢も透明度もすごく良く、サイズも大きく、しかも安いのです。
danburite (Mexico)
これ、たしか300円ぐらいで買ったんですよね。
やはり世界の壁は厚いです。


danburite は、和名こそ「ダンブリ石」ではありますが、学名を正確に発音するとカタカナ英語でいうところの「ダンビュライト」になります。
土呂久は誰が鉱山技師をやっていたのかわかりませんが、この学名を通し名にしていたらしく、未だに集落で「ダンビュライト」で通るみたいです。
私が土呂久に行ったときも、集落の人は皆「ダンビュライト」でした。
この間の土呂久在住のもぇさんのコメントでも「ダンビュライト」でしたよね。
採掘をやめて60年以上経つのに、昔の鉱山技師が使った学名が、未だに土呂久では使われているんです。なんか不思議。


撮影メモ;PN95/2.8A(f=11). もっと絞りたい。