アイリス絞り付き顕微鏡対物レンズ

顕微鏡対物レンズに絞りを持つものはあまりありません*1が、ユニバーサルステージ用の顕微鏡レンズは絞りがあります。
これは、ユニバーサルステージでは被写体の薄片が傾いていることが多く、視野の深度を稼ぐ必要があるためです。
最初は、ユニバーサルステージのガラス半球に由来する球面収差を補正した光学設計のかな、とも考えたのですが、半球の大きさや屈折率はいろいろあるため、そういった収差補正はしていないのではないかと想像しています。
5−20倍といった低倍率のものがほとんどです。
かつ、ユニバーサルステージは半球ガラスを挟んでますから、設計としては LWD にせざるを得ません。
顕微鏡の対物レンズは、カバーグラス由来の収差補正リングが付いているものもあり、まぎらわしくて注意が必要です。
U が入っているもので、リングが付いていれば、ユニバーサルステージ用の絞りつきのものでしょう。



以前紹介した、photo.net の記事で出てくる Nikon U10, U20 は、ユニバーサルステージ用です。
http://photo.net/bboard/q-and-a-fetch-msg?msg_id=00L3Gl
ホントは、これに U5 という赤いラインが入ったものもあります。
↓たぶんこれが U5 です。ステージはライツのですね。
http://ksgeo.kj.yamagata-u.ac.jp/~nakashi/gakusei/tanno/bunnseki.htm


ニコン対物レンズは倍率によってカラーリングが違い、低倍率から順に5倍が赤、10倍は黄色、20倍は緑です。
40倍が水色、60倍が青、100倍は白です。


顕微鏡部門で製作したマクロニッコールの色分けは、倍率こそ違うものの、これを踏襲しているものです。
もし、マクロニッコール48mmがラインアップにあったとしたら、そのカラーリングは緑だったことでしょう。


ユニバーサルステージを生産しなくなった今は、それ専用の対物レンズももちろん作ってないでしょうね。
Nikon U5, U10, U20。このあたりがセットでやってくるのではないかと期待しています。わくわく。

*1:オリンパスニコンの高倍率のものは、以前から絞りが入っているものがあります。現行製品では、オリ UPlanApo100 iris などがそうです。