携帯電話と登山と鉱物採集

オヤジと少し電話で話して、携帯電話による救助要請の話を聞きました。
えーすごい。よくそこで電波が入るな、というネタでした。
位置や角度によって、山中でも予想もしないところで携帯電話の電波が入ることがあります。
例えば、みついわのツイン産地、アソコは mova の電波が入るんです。
スーパー林道を通しているとはいえ、西上州の山奥です。
産地の真ん前の林道レベルでは圏外なんですが、みんなが掘っている露頭まで数メートル上がると、通話できるんですね。
アンテナとの位置関係によるんでしょう。
海の上でも沿岸数キロは電波が届きます。
以前、カヤックで沖縄の海に浮かぶ無人島を周っているとき、携帯電話が鳴りました。
するとおじいが「あの論文はどうなったか?」って聞くんです。
私は「たった今書いてます。もうすぐ仕上がります。」とか返答するんです。
サンゴ礁のドロップオフの上で、ウミガメが海の上から顔を出しているのを見ながらですよ。
場違いなことこの上ないです。


携帯電話ってのは悪魔の道具だな、きっと悪魔や死神は携帯電話で仕事のスケジュールをこなしているに違いないって思いました。


場所によっては鉱物採集しながら電話できます。
去年、何度か行った水晶産地も露頭でメールが来ました。
例えば

今、○○鉱山の大露頭なんだけどさ、ヘンな結晶性のカッパーグリーンがいっぱい出てきてるのね。以前の地調月報が本棚に刺さっているから、ちょっと見てくんない?

例のマンガン鉱山の傍まで来ているんですが、場所がわかりません。杉が三本道沿いにあって、その前に道祖神があります。この対岸?

っていうのもありなわけです。
私も何度かガマ開けしながらこの日記を携帯電話がら書いていたりしてます。


携帯電話は、救助要請を出すにはもってこいです。
トランシーバーはでかくて、重くて。相手も必要だし。電波法のことも考えなきゃ。
携帯電話はそんなことありません。電波さえ入れば誰にでもかけられます。
逆に、救助要請が気軽すぎるというケースが数件。上越国境のオバサンの話ではないんですけど。
ピザーラの出前じゃないんですよ。


救助要請を出すには相手を選んだほうがいいです。
日曜の昼間、ビール飲みながら家で DVD を見てたら「崖から落っこちて足折った。もう動けない。死んじゃう」って電話が来たら、自分の日常とのギャップにのけぞりますよ普通。
山に行くなら事前に人に連絡しておくべきです。登山届も出しましょう。
救助要請は警察にかけましょう。海なら海上保安庁
どうも遭難者ってのは親しい知人か近縁の人にかけたがるみたいです。
この間の遭難の時もそうだったんですよね。
もうしゃべれなくなっているのにもかかわらず、家族に電話してしまう、と。
メール依存症なら

落っこちたーorz
どう見ても瀕死状態です本当にありがとうございました(´・ω・`)ショボーン

という感じで死ぬ間際まで AA を打ちそうです。


要するに、かけられる側の携帯電話の使用は日常ですが、かける側の遭難はあくまで非日常のものであり、これが瞬時に連結されてしまうことに違和感が出てくるんですね。