UMN 28mm F1.8

さらに試行し、およそ使い方がわかりました。
現時点での私の評価。

  1. これはやはり e 線のみに最適化・収差補正されたレンズであり、可視領域全域で使うのは困難。
  2. 絞りを開けると、軸上および倍率の色収差、それ以外の収差の波長による引きずりが露骨に出る。
  3. 絞って、レンズの芯を使い、近軸光線のみで結像すると、シャープな像が得られる。このときの f は 4 以上。
  4. 絞ったときの解像力は、回折限界に近くシャープである。このクラスの焦点距離トップレベルであろう。
  5. ボケはあまりほめられたものではない。後ボケが強い2線になる。強い光源下ではここに芯が入り、絞りによる星が出来る。
  6. 色の再現性はあまり良くない。特に緑色(e線は緑色なのに、なぜ?)。
  7. コントラストはすこぶる良好。
  8. WD はかなり小さい。設計倍率で 1cm 内外。照明方位が限られる。


あまりいい評価ではありません。
それでも、このレンズのポテンシャルは非常に高いものです。
ツボをついた使い方をすると、他のレンズでは得ることの難しい解像度を、高コントラストで叩き出します。
まさに60年代の恐竜。悪魔のレンズです。
これと比較すると、プリンちゃんがよほど使いやすい、飼い慣らされたレンズかと思えてきます。
ひどく使いこなしづらく、信用も出来ない。
しかしこのレンズには他のレンズには無い絵の雰囲気があり、魅惑されます。
それが一番大事。
こいつの本当の実力は、設計波長 e線の単色光使用下で搾り出されるものです。
今後、こちらの方向のモノクロ化へシフトしていく予定です。
それと、リバースの時のイメージサークルは 6x7 ぐらい平気でカバーできるでしょうから、中判・大判で10倍マクロを撮ったらいいと思います。
この解像度で 6x7 は、絶対しびれますぜ。


実力査定6諭吉。こんなものです。
私はこのレンズをマクロになれた人にですらも実用本位で勧めようとは決して思いません。
実力の出せる範囲(波長、倍率、被写体、光源)が狭すぎるからです。
しかし私はこのレンズを決め玉として使う予定です。
それだけの実力があり、雰囲気があるのです。こいつは。