下水の汚泥、焼いたら金…長野の施設500万円の収入
id:garimpo さんのところで紹介されていたものです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090129-00000002-yom-soci
長野県諏訪建設事務所は28日、諏訪市豊田の県の下水処理施設の汚泥焼却灰に1トンあたり1890グラムの金が含まれていたと発表した。
1890 g/t! 0.2%! 超高品位ですね。
あの菱刈鉱山でさえ、脈幅の品位が 50g/t ですから、その濃度の高さがわかります。
まあしかし、鉱量は微々たるもんなんですけど。
諏訪地方には精密機械工場が多く、汚泥の金は流域の工場が金メッキなどで使った排水が影響しているとみられる。これまでは、廃棄物として処理していたが、ここ数年の金の価格高騰で、金を取り出す処理をしても採算が合うようになった。今年度中に計5トン分の売却を予定しており、経費を差し引いた売却益は約1500万円が見込まれる。
一つ気になるのは、これがメッキ工場からの廃液由来だとしたら、金のシアン化物が排水に流れている可能性が高いということです。
それが分解して金コロイドになって、汚泥に混じってるということなのでしょう。
このニュースで思い出したのですが、確か5年以上前、2ちゃんねる化学板に「金箔入りの日本酒から金を取り出したい」という趣旨のスレが立ったことがあります。
金は展性、延性に優れ、1 g の金からタタミ1畳分ぐらいの金箔が作れます。
このぐらい薄いと向こう側が透けて緑色に見えます。
そんな予備知識がある人があの板には多いですから「んなことやってもぜんぜん採れないから、やめとけ。バカかお前は」ライクの書き込みでスレが埋まりました。
私は ROM ってただけなんですが、やはり同じことを考えました。
しかし、彼は金箔入り日本酒の生産工場で働いており、賞味期限を過ぎた回収酒を黙々とろ過し続け、数ヶ月たったときには「30 数グラムの金箔がたまったぞ」という報告が書き込まれたのです。
たぶん時給にしたら、コンビニのバイトの方が儲かるでしょう。
しかし、彼はやってのけたのです。そこまで集めたのです。
みんなビックリし、悔い改めたのでした。
分離操作が煩雑でなければ効率が上がり、低品位でもそれなりに回収できるというのはもちろんなんですが、岩をも突き通す信念は、時として専門家もビックリさせる結果を生むのは確かです。
それをやる以前にそろばんをはじき、儲かるのかそうでないのかが事前にわかるのが科学の役割なのです。
しかし、やる前から決め付けてはいけないんですね。
やってみなけりゃわからんよ、ということでした。