ラピス

精密化した格子定数 a = 8.8784(2)Å at -50℃。


今、解いてるんですが、Acta 誌の最新論文ではテクトシリケートのアルミノシリカのカゴで、原点と格子の中心にイオウがいて、カルシウムとナトリウムは完全にディスオーダー解釈なんですが、自分で単結晶構造解析をやると文献よりもっと対称性が低いです。
これが、良好な単結晶をゲットした価値なのではないかと思っています。


もちろん、きれいな鉱物標本はホントに美的で、ため息の出るようなものもあるんですが、科学者はその美的さの根底に流れる物質科学の理(ことわり)を汲み取り、その対称性の美が結晶を組み立てていることに気付く必要があるでしょう。
これはダブルスタンダードじゃないか、と考える向きもあるのですが、実は連続しているもので、要するに視点のサイズに関するダイナミックレンジがどのくらい広く取れるか、というところが大事なのです。
オングストローム単位での、物質を構成するレンガについての情報をもとに、なぜ結晶はきれいなのか、これを追求するのが科学です。
んで、その情報を得るためには、たとえ虎の子の単結晶でも砕いてデータが取れなければ研究はできません。
砕かなければデータが取れない、って時には、破壊分析もやむなし。


この標本も、1.5 諭吉って言われたんですよじつわ。三千円値切ったけど。