2酸化チタンの3多形

ルチル(rutile, 金紅石)
rutile


アナテース(anatase, 鋭錐石、アナターゼ)
anatase2


ルッカイト(brookite, 板チタン石)
Brookite


晶出時のチタン濃度、温度、圧力、pH などのわずかな条件によって、二酸化チタンはいろいろな結晶構造を取ります。
まったく同時に、二つの多形が成長しているとしか思えない状況もあり、けっこう謎に包まれています。


結晶形状は、ルチルは四角柱状で、低い頭があり、柱面のエッジは削げています。
アナテースは四角両錐。錐面先端はまったいらな端面で切られていることも多いです。
ルッカイトは板状で、剃刀の刃のようにエッジが鋭く削げています。ホントに手が切れそう。


以前から、究極の白色顔料として多用されてきました。
白いウルシは、これがないとできません。
女性の化粧品にも多く加えられ、チタンの超微量分析をやってるところに化粧した女性が入るとデータがぐちゃぐちゃになるという話は前にちょっと書きました。
この10年ぐらい、光触媒としてよく名前が出てきます。
いずれの酸化物も、光で言うと紫外域長端に相当するぐらいのエネルギーのバンドギャップを持ちます。
合成で簡単なのはアナテース。加熱するとルチルに相の転移を起こします。
ルチルも作れます。高温相はルチルの方がはるかに安定域が広いので、単結晶ものですとルチルが多いです。
ルッカイトは合成的には厄介なので、バンドギャップという点からは有利なんですが、あまり光触媒として利用されることはなさそう。


なお、合成では無色淡黄色透明です。天然の色は不純物によるカラーセンターです。


撮影レンズは、上から LOMO Mikroplanar 40mm, Rodenstock Apo-Rodagon N 50mm, Leitz Photar 80mm(F5.6) でした。
アポロダゴンは撮り収めですね。ドナドナ。