マグネシウム

magnesium_crystals
Nikon Nikkor-AM 120mmF5.6 (F = 16)/Multiphot/D3


(おそらく)真空昇華によりレトルトデポジットさせた、マグネシウムの結晶集合体@中国。
マグネシウムは六方最密なので、六方晶を作る。
ニョッキリ伸びた指のような集合体なのだけれど、c軸方向(六角板状結晶の六角形方向)に積み重なった結晶成長をしている。
ガスの炎で強熱すると、真っ白な炎を上げてよく燃える。


初めて、このような真空昇華で作ったマグネシウム金属を見たのは、小学校時代、葛生のドロマイト鉱山(ムラカシ石灰)で、鉱山事務所に置いてあったものだった。
ムラカシはそのころ、盛んに精錬用のドロマイトを掘っていた。
石灰鉱山の露天掘りでは、フズリナがいっぱい入っていた石灰岩がいっぱい落ちており、所々、天水のしみこむ隙間に大きな方解石の結晶が得られた。


時間は流れ、有機金属化学を専攻し、有機合成をするようになって、金属マグネシウムはいくらでも使うようになった。
グリニャール試薬という、炭素の陰イオンを作り出す試薬の調製に、何キロというマグネシウムの削片を使った。
不純金属や表面の酸化に悩まされ、やっとマグネシウムが言うことをきくようになったのは、働き出してからだったか。


初めてマグネシウムの結晶を見てからウン十年経ち、やっとオレの手にマグネシウム結晶がやってきた。


ただし、この結晶はマグネシウム独特の銀白色が出ていないので、接着剤で群晶を固めたら酸洗いし、再度撮影する予定。