セシウム

毎日毎日名前を聞くことになってしまった、セシウム
たぶん、単体を見たことのある人は、千人に一人もいないのではないでしょうか。
この日記をごらんの皆様はよくわかっていると思うのですが、非放射性の金属セシウム 133 です。まあ当然ですよね。
大変美しい黄金色の金属で、融点 28℃、体温で簡単に融けます。
が、単体のセシウムはすべての元素の中で最もイオン化傾向が高く、空気中に出すとあっという間に酸化します。量が多ければメラメラ燃え出します。ですので、アルゴン詰めのアンプルに入れて売られています。
これの危なさに比べれば、金属ナトリウムなんてただの飾りです。偉い人はそれがわからんのです。
融解させ、適当に凝固させると融液の中に多くの樹枝状結晶が育ちます。

Cs1


Cs3


放射性セシウムが飛んでるから金属臭がするというのは、この反応性の高さから考えればおかしな発言だというのがわかってもらえるかと思います。
そもそも鼻でわかるような量は飛散していません。
ナトリウムもカリウムも単体は金属ですよね。


室温では非常にベタベタした固体で、アルゴン中で取り扱うのですがいろいろなところにへばりつき、空気中に出すと燃え出すので大変厄介です。
こういう危ないものを安全に取り扱えるのが、実験屋の力量でもあります。


5gアンプルをぶん殴って割っただけで勝手に燃え出します。

水がいると爆発的に反応し、水酸化セシウムに変化し、発生した水素も同時に燃えるという、ホントに気を遣う金属であります。


資源的な話は、数日前にポルックス石の話を書きました。
http://d.hatena.ne.jp/doublet/20111107#p2