硫黄

偏光顕微鏡をセットアップしながら、硫黄融液を固化したものの写真を撮影していました。


硫黄は、分子状の単体で S8 の王冠状分子です。熱を掛けると環が開き、別の環状分子・鎖状分子を含んだ混合物になります。
これを固化させると単斜晶の硫黄になります。この時に S8 が優先固化し、それ以外の分子はインクルージョンとして包有されたり、あるいは結晶からはじき出されます。
S8 の成分量が多い、すなわちメルトしてすぐの状態を固化させると速やかに高い結晶性のサンプルができますが、しばらくメルトの状態で加熱しておくと、冷却してもはっきりした粒界の多結晶ではなく、ふしぎなマーブル模様になります。
これは、ゆっくりと斜方硫黄の S8 に転移しますので、こういう造形が楽しめるのはせいぜい一日。二度と同じものはできません。


まあ、難しい理屈はいずれとして、偏光顕微鏡で硫黄融液を固化させたものを検鏡すると、さまざまな結晶のテクスチャーが楽しめます。人工物ですがコントロールの難しい、自然の造形です。
結晶の抽象画・マイクロテクスチャーといってもいいでしょうか。


sulfur_heart
sulfur_x45
sulfur_polarizing_microscopic
sulfur_4
sulfur_3


撮影セットアップは以下のような感じです。
Nikon Polarizer (for Nikon Industrial Microscope) / Sample Slide / Nikon Objective / Nikon Optiphot / Nikon analyzer (for Nikon POH) / Nikon CF PL 2.5x / Nikon Multiphot / Nikon D3
対物レンズは、Plan Apo 4x, Fluor 10x, Fluor 20x を使っています。
やっぱり8倍ぐらいまでの低倍率は、マクロのほうがいいなぁ。


ねこのてぶくろ亭では、この種の偏光顕微鏡写真について、しばらく注力して写真を集めていきます。