単斜硫黄

言おう言おうと思っていた、硫黄です。
硫黄は8原子集まって、王冠上の分子を作る分子結晶ですが、結晶系に二種類あり、低温では斜方晶系のα硫黄を、高温では単斜晶系のβ硫黄を作ります。
硫黄を溶かして固めると、単斜晶が結晶化するので、しばしばデモ実験に使われます。
にもかかわらず、ウェブを探してもいい写真がなかったので、これにトライしてみました。


小さなガラス容器に硫黄(小串のもの)を放り込んで、過熱にならないように融解させます。
で、これが固化するのを待ちます。
結晶化は周りからはじまるので、表面に薄皮一枚の結晶膜が被ったところで、中のどろどろの硫黄を流しだすと、融液の中で結晶化していた単斜硫黄の結晶が出てきます。


monoclinic sulfur 1


二硫化炭素などの溶媒を用いて低温で成長させてできる硫黄は斜方で、四角両錐なのですが、単斜硫黄ははりはりです。


monoclinic sulfur 2


四角柱状結晶で、端面はほとんど育たないのですが、よく見ると斜めに削げ落ちた端面が見えることもあります。イメージ的には濁沸石っぽい感じ。


平行連晶も作ります。
monoclinic sulfur 3


ちなみに、低温で育てた斜方硫黄って、こんなのです。


単斜硫黄はほっておくといつの間にか斜方の硫黄に相転移して、白濁してしまうのですが、いつでも作り直せるんでいいや、と考えていたら、まともな写真になりませんでした。
隙あらばサボってしまうのは悪い癖です。しかし反省していません。


(メモ)一枚目は EL Nikkor 75mm のテッサーを f = 22 まで絞り込んでいます。二枚目は Zuiko Macro 38mm (f = 11)、三枚目は Photar 25mm を f = 8 まで絞ってます。


→今日の朝見たら、ほとんどの部分が見事に白くボロボロになっていました。
相の寿命は6時間前後でしょう。短命です。
以前、故草下氏が、「鉱物採集フィールドガイド」で、「硫黄は噴気孔ではきれいな結晶なんだけど、下界に下ろすとみすぼらしくなる」旨の記述をされておりましたが、あれはまさにこの相転移によります。
で、スズの相転移と同じで、転移を起こすきっかけというのがやはりあるようです。
スズは低温相の灰色スズと、室温で安定な金属スズの二相があり、低温にしてもなかなか金属スズは相転移を起こさないのですが、そこにちょっとでも低温相の灰色スズを付けると、そこからどんどん相転移が起こります。
この現象を「スズペスト」と呼んでいたそうです。
硫黄も同じで、引っかき傷や粉にした部分、あるいは斜方晶の部分があると、そこからゆっくり転移を起こすみたいです。
ショックを与えずに放置した単斜の硫黄の結晶は、そうでないものよりも寿命が延びます。

陽水その2

井上陽水ディスコグラフィーを見てみましたが、確かに陽水は35までにヒット曲を多数製造しています。
大ヒット「氷の世界*1」は25歳でしたし、「心もよう」「リバーサイドホテル」「背中まで45分」「なぜか上海」「夢の中へ」「飾りじゃないのよ涙は」「ワインレッドの心」、すべて35歳までの曲です。
36歳の時の「9.5 カラット」はミリオンセラーですが、曲自体は35までに作った曲のセルフカバーですから。
アルバムの数も、興行成績も、35を節目として落ちています。
その後のヒット曲ですと、「少年時代」「Make-up Shadow」「アジアの純真」などですが、私の好みには合いません。


「35歳を過ぎると陽水が腐る」という発言は、意見としては不当ではないようです。


あ、一つ付け加えておきますが、私は井上陽水忌野清志郎も好きです。
こうだ某という人の曲は聴いたことがありません。

*1:忌野清志郎が提供した曲が入っており、その印税はその時点での忌野清志郎の過去の芸能収入すべての10倍以上と言われています。「RCサクセションのすべて」に書いてありました。