なぜか最近、黒鉛*1(graphite)を仕事で使うことが多いです。
黒鉛って不思議ですねえ。
シートとシートの間はパイ電子が飛び出しているだけで化学結合は無いんですが、この間にいろいろの原子や分子が入ることができます。


アルカリ金属*2なら何でもござれです。


この種の物質を層間化合物というんですが、カリウムなら炭素原子8個に付きカリウム1個の割合まで、いろいろな量比で黒鉛の間に詰まります。


ブロンズ色で大変きれいなのですが、空気中の酸素で瞬時に酸化されます。
もちろん天然には存在しません。


有機、無機を問わず、ある程度の大きさの分子も黒鉛層に入り込みます。
アンモニアとか、テトラヒドロフランとかです。


最近の三鉱学会でアンモニアを含んだ黒鉛の話がありましたが、国産の黒鉛の標本をよく調べると、いろいろ挟まっているかもしれませんね。


まさにサンドイッチ。中の具が出たり入ったりするのがマジックです。

*1:sp2 炭素がシート状に無限に連なった元素鉱物。正六角形を敷き詰めた層が重なっていると考えるとわかりやすい

*2:単体です。電子移動を起こしてカチオンになるのですが