Fluorite の材料としての利用

Fluorite は愛好者が多く、いろいろな話があるが、少し材料科学的な話題で。
こんな話を書くヤツはあまりいないだろうから。


初めてフッ素単体を単離したモアッサンは、天然の fluorite をくりぬいた容器に液化フッ素を閉じ込めたようだ。
ガラスだろうが金属だろうが、フッ素は何とでも反応してしまうほど反応性が高い。希ガスとすら反応する。
Fluorite は成分がフッ化カルシウムで、フッ素やフッ化水素酸にはまったく侵されないので、容器として利用したのだろう*1


フッ素の化学は、化学者の死闘の歴史だ。ホントにみんな命を引き換えにしている。
大天才デービーもフッ素単離に心血を注いで、体を悪くした*2
今でもフッ素化学は他分野に比べて危険な化学だ。
オレも一時期、有機フッ素化合物のおかげで健康を害した。
いや、マジで歯が欠けるんですよ。
フッ素は元素毒性の高い元素の一つなので、気をつけて。必須元素なんだけどね。

*1:現在はモネルメタルをはじめとするニッケル合金類がフッ素に耐性が高いことがわかり、fluorite を材料とすることはなくなった

*2:オレはファラデーよりデービーの方を評価している