大草原の小さな家

doublet2005-04-18

右の写真は昨日採集した heulandite。「大草原の小さな家」タイプ。
結晶の大きさは、立ち上がった方向に 7 mm 程度と、小さなものだ。
後ろにある結晶は「大草原の小さな倉庫」かな。しかも店が傾いているし。
これは母岩が白いので雰囲気が出ないが、ガマ内張りが celadonite とかで緑だと、ホントに草原に立つ白い家のように見える。
サムネイルケースに貼付けると、箱庭のようになる。


上の写真はちょっと heulandite らしくないので、もう一枚。
下の写真は典型的な heulandite の結晶集合。同産地。
一番大きな結晶で 1.5 cm ぐらい。


沸石の白い結晶がいっぱい付着した標本は、コントラストが足らず、写真に撮っても結晶の形状がわかりづらいので嫌だ。これも結晶の形がほとんどわからなくなった。


劈開が b 軸方向にあり、この方向から結晶を見ると、劈開面で反射して真珠光沢を示す。
このことから、和名を「輝」沸石と名付けられている。
ちょっと力がかかると、劈開方向にぺらぺら剥げるので、なかなか heulandite の四周完全な大型結晶標本というのは、野外で得づらい。
なお、上下の標本、劈開面は一つもない、すべて自形の結晶。


劈開に対して直角の方向から見ると、きれいに透き通っている



沸石コレクションの楽しみは、やはり多種多様の沸石の織りなす造形の妙を味わうものだと思う。


沸石グループの鉱物は、沸石水が抜けたあとの大きなケージやチャネルに分子を入れる分子ふるい(モレキュラーシーブ molecular sieve という名前のほうが化学屋には通りがよい)、イオン交換能を生かした材料としての応用がよく知られている。
Heulandite は石油クラッキング*1の触媒担体の成分の一つとして、間接的に全人類がお世話になっている鉱物だ。

*1:比較的分子量の大きな脂肪族炭化水素を分解不均化して、より小さい分子量の炭化水素に変化させる反応。