三つ子

コードネーム:白木葉子の結晶がいっぱいロゼットを作っているのを顕微鏡で確認して、端から剃刀の刃で切っていたら、こいつが三連の輪座双晶を作るらしいということがわかりました。

いや、双晶は趣味だけで充分です。
仕事では単結晶になって欲しいんです。
白木葉子のラウエ群は -3, 格子は P でした。三連はそのためでしょう。
確かに分子に三回軸があるので、-3 に結晶化してもかまわないわけです。
しかし彼女はモザイク性が高いために高角側まで反射が出ず、結局満足に直接法で解けませんでした。
結晶化からやり直しです。一度結晶になってしまうとまったく溶けないので、混ぜるところから。
双晶もじっくり研究するべき疑問点が多いのですが、忙しいので手が付けられません。
構造決定だけで手一杯です。
彼女を作る人は、もしかすると人類が滅亡するまでもう出てこないかもしれません。
彼女が双晶を作るという癖を知っているのは、この日記を読んでいる人だけです。